タマネギ栽培動画、なぜYouTubeの急上昇に登場? 成功体験のシェアと信用性が貴重なコンテンツに

 3月3週目、塚原農園のタマネギ栽培に関する動画がYouTubeの急上昇に2本ランクイン。なぜ農家が運営するYouTubeチャンネルが注目を集めたのか、今回はその理由を考察してみたい。

 塚原農園は、タマネギやハクサイ、ナス、ジャガイモ、トウモロコシなどさまざまな野菜を栽培している、茨城県古河市に実在する農家。2019年1月11日にYouTubeで動画投稿を開始すると、農業や家庭菜園向けの動画を投稿、チャンネル登録者数は50.3万人を越えている(3月20日時点)。

大失敗だった玉ねぎ畑にコレ撒いたら、とんでもないことになりました!【玉ねぎ栽培】23/3/10

 今回急上昇入りしたのは、「大失敗だった玉ねぎ畑にコレ撒いたら、とんでもないことになりました!【玉ねぎ栽培】23/3/10」と「小さい玉ねぎは3月にコレやるだけで大きくなります!【玉ねぎ栽培】23/3/13」の2本。とくに10日に投稿された動画が注目を集めており、執筆時点の再生回数は45万回を突破している。

小さい玉ねぎは3月にコレやるだけで大きくなります!【玉ねぎ栽培】23/3/13

 昨年は大寒波の影響で大失敗したというタマネギ栽培。10日公開の動画で塚原さんは、昨年の失敗から、今年収穫するタマネギの栽培にはイネニカという資材を使用していることを明かしている。苗を植え付けたあと、クリスマスと今年の1月上旬には関東に大寒波が到来。うまく育つか心配したこともあったようだが、塚原さんの心配をよそに、今年のタマネギは順調に育っているそうだ。

 塚原さんがイネニカを使用してタマネギを栽培するのは今回が初めてのこと。タマネギの栽培にイネニカが大きな効果があることに「すごく驚いています」と話すが、視聴者側は本当に効果があるのか、気になるところではないだろうか。実は塚原さんはイネニカを使用して育てたタマネギと使用していない玉ねぎの両方を育て、その差も公開している。素人目にもその差は歴然。イネニカを使わず、塚原さんの従来通りの方法で育てたタマネギは、葉が元気がないうえ根は細く、まだまだ短い状態。イネニカを使って育てたタマネギとは、別物だった。

 13日に投稿された動画では、塚原さんがタマネギ栽培における水やりの重要さを解説。塚原さんによると、タマネギが肥大する3月はたっぷり水を与えることが大切だという。植物の栽培に水やりは当然かと思いきや、畑の水やりをあまりやっていなかったというコメントが意外と多く、塚原さんの動画から学びを得ている視聴者が多くいたことがわかるものだった。

 ところで、農家である塚原さんの動画はなぜ視聴者から支持を集めているのか。塚原さんの動画を振り返ると、成功体験を惜しげもなく公開することが大きな要因のひとつに挙げられる。農家である塚原さんにとって、成功体験をYouTubeという巨大プラットフォームで栽培手法を公開することは、ライバルたちに手の内を明かすことにもなる。農家同士の競争が激しくなれば、自身の売上低下にもつながりかねないが、こういったリスクを負いながらも成功事例をオープンにする塚原さんの姿勢を称賛するコメントが寄せられている。

 さらに今回の動画で明かされていた試験栽培も、塚原さんの動画に説得力を持たせたようだ。どんなに「効果がある」といわれたとしても、比較したものがなければその言葉を信用する視聴者は少ない。本業が農家であるため、その差を知っておきたいという考えはもちろんあるだろうが、比較できるものがあったからこそ、塚原さんに対する信用度がアップ、発言がすんなりと受け入れられたと考えられる。

 エンタメやスポーツ動画が急上昇ランキングを賑わせるなか、突如急上昇に登場した塚原農園のタマネギ栽培動画。成功体験をシェアする姿勢と信用性がかけ合わさった2本は、YouTubeのなかでも貴重なコンテンツとして支持を集めたようだ。

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