『FF7』へとつながる、はじまりのタイトル 15年前の名作リマスター版『CCFF7R』を遊ぶべき4つの理由

『CCFF7R』を遊ぶべき4つの理由

 『ファイナルファンタジーVII』(以下、FF7)から派生したタイトルは、まとめて「コンピレーション オブ ファイナルファンタジー7」と呼ばれている。

 それらを構成するタイトルは、全部で4つ。2005年に携帯アプリ向けに配信されていた『ビフォア クライシス -ファイナルファンタジーVII-』、2006年に映像作品として登場した『ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン』(以下、FF7 AC)、同じく2006年に発売された3人称視点のシューティングゲーム『ダージュ オブ ケルベロス -ファイナルファンタジーVII-』と、2007年発売のPSP用タイトル『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-』(以下、CCFF7)だ。

 なかでも、「FF7」の7年前を描いた『CCFF7』は最近リマスターされ、2022年の12月に『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII- リユニオン』(以下、CCFF7R)として発売。15年前の作品に再び注目が集まり、当時のプレイヤーが思い出を振り返るきっかけになったことはもちろん、新規層が「FF7」シリーズにふれるきっかけにもなった。

 本稿では、そんな本作を遊ぶべき4つの理由をピックアップ。ゲームハードの事情やストーリーの中身、3部作を予定しているリメイク版『FF7』との関連など、さまざまな側面から解説していく。

1. PSP以外の機種でも『CCFF7』の物語が体験可能に

 キャラクターモデルをイチから作り直したり、主人公であるザックス・フェアのアクションに新要素を追加したりと、大小さまざまな調整が施されてはいるものの、『CCFF7 リユニオン』に描かれている物語の内容は、原作である『CCFF7』とまったく変わらない。

 なら無理にリマスター版を買わず、オリジナル版を遊べる環境を安く揃えていいとも思える。だが、『CCFF7』はPSP用タイトルのうえ、パッケージ版しか出ていない。さらに対応機種のPSPは2014年に全モデルの出荷が完了しており、アフターサービスも終わってしまった。すなわち、いまとなっては原作を遊ぶこと自体が難しいのだ。

 そうした背景もあって、今回『CCFF7 リユニオン』が出たことは、とても喜ばしい。現行機でも遊べるようになったことで、本作にさわれるハードルが大きく下がった。また詳しくは後述するが、『CCFF7』は、「FF7」シリーズ全体で見ても非常に重要な作品であることも理由のひとつだ。

2. バスターソードの歴史がわかる

 『FF7』で主人公を務めるクラウド・ストライフは、最初の武器としてバスターソードを持っている。任天堂から発売中の『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』でファイターとして登場した彼も、デフォルトのカラーバリエーションではこの得物を使っているので、『FF7』をプレイしたことはないが、武器は見たことがあるという人もいるだろう。無骨・長大など、一見すると見た目の感想がせいぜいの剣ではあるが、『CCFF7R』を遊んでから見てみると、とても“ただの大剣”では済ませられない。

 クラウドの手に渡るまでに、バスターソードはふたりのソルジャー(神羅カンパニーという企業が有する戦闘特化の兵士)の手中にあった。最初の持ち主はアンジール・ヒューレーで、ソルジャーになった彼へのお祝いとして、父が多額の借金をしてまでバスターソードをあつらえた。これがバスターソードの始まりであり、『CCFF7R』の主人公であるザックスは、その後に起こったさまざまな事件を経てふたり目の使い手となる。

 ザックスがバスターソードを継承し、さらにクラウドが受け継いでいくまでの流れは本作でも重要な部分であり、ネタバレになるため、本稿では詳細は伏せる。ただ、バスターソードはアンジール、ザックスという男たちの想いを乗せてきた大剣で、『CCFF7R』の物語の根幹を成していると言ってもよいだろう。

 本作をクリアしておけば、今後のリメイク版『FF7』だけでなく、コラボ先の作品などさまざまな場所で目にするであろう、クラウドとバスターソードの組み合わせに、特別な意味を見出せるはずだ。

3. 正気だったころのセフィロスを見られる

 『CCFF7R』でバスターソードの出自と同じくらい重要なのが、ソルジャークラス1st・セフィロスの存在。英雄とうたわれるだけあって卓越した戦闘能力をもち、他者を寄せ付けないオーラを漂わせてはいるものの、ザックスの苦労を労ったり、出張先が部下の故郷と知ると本人に家族との面会を許可したりと、物語中では性格の良さや誠実さがうかがえるシーンも多い。

 アンジールやジェネシスといった一部のキャラクターたちは数少ない友人同士で、ほかのソルジャーたちの目を盗んでいっしょに悪ふざけをしていたなど、本人の口から貴重な逸話が聞けることも。

 こうした姿は、『FF7』やほかのスピンオフ作品を知る人にとっては衝撃ではないだろうか。映像作品である『FF7 AC』のほか、「キングダムハーツ」シリーズで登場した際は執念深くクラウドをつけ狙う姿が印象的で、セフィロスはすっかり狂ったキャラクターとして周知されている。そうした背景もあって、かつてはこんなにもいい奴だったのかと、オリジナル版を遊んだ当時はとても驚いたものだった。

 『CCFF7R』ではクラウドのバスターソードと同様、後のシリーズの重要な存在であるセフィロスについても細かく描写されている。“ストーカー”を始め散々な言われようではあるが、そんな彼の過去をぜひ本作で深く知ってほしい。

4. リメイク版『FF7』本編につながる物語がわかる

 23年越しに『FF7』がリメイクされ、同シリーズにも再び注目が集まっている。今回紹介している『CCFF7R』に加え、2023年夏にはコンピレーション オブ ファイナルファンタジー7のシリーズを追体験できるスマホアプリ『ファイナルファンタジー7 エバークライシス』のベータテストが開催予定で、今冬には2020年の『FF7 リメイク』から続く第2弾『ファイナルファンタジー7 リバース』が発売される。今年は『FF7』が熱い年と言えるだろう。

 特にリメイク版『FF7』の3部作は、『FF7』発売当時はまだ世に出ていなかった『FF7 AC』や『CCFF7』といったほかの作品を踏まえたうえで作られているため、物語の展開や設定にもさまざまな配慮がなされている。リメイク版は、いうなれば『FF7』全体の総決算なのだ。

 リメイク版『FF7』の物語を見届けるという意味で、現在発売中の『CCFF7R』はそのきっかけになるだろう。時系的にもっとも古い物語が描かれているおかげで、ザックスやクラウドといったキャラクターたちを始め、神羅カンパニー、ライフストリームといった世界観にまつわる用語も予備知識なしで楽しめるからだ。

 具体的には、『CCFF7R』で『FF7』シリーズの始まりを知り、そのうえでリメイク版第1作を遊んで今冬の続編に備える、という流れが理想かもしれない。『FF7』を知らない人にとっても、長いシリーズに触れる絶好の機会と言えるだろう。

 もちろん、3部作が揃ってから遊び始めてもいい。ただ、その場合はリメイク版の最終作が出るまで少なくともあと数年は待たなくてはならないので、いざそのときになったら熱が冷めている可能性もある。個人的には、「FF7」シリーズ全体の勢いがある今のうちにせめて『CCFF7R』だけでも遊んで、シリーズにふれる取っかかりにしてほしいところ。

 『FF7』シリーズの始まりを描いた作品として、15年の歳月を経て復活した本作。PS4やSwitchを含めた多彩な機種で遊べるので、ぜひ一度ふれてみてほしい。

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