さらにパワーアップしたサンリオVfesと、すさまじい速度で人気とBANを得たAI VTuber。1月前半から急加速するバーチャルの世界

さらにパワーアップした『サンリオVfes』

 1月13日、バーチャルピューロランドの地下が再び開かれた。サンリオ主催のメタバース音楽フェス『SANRIO Virtual Festival 2023 in Sanrio Puroland』が、満を持して開催された。フェス本番は1月21日から22日までだが、本番までの1週間ほどは『VRChat』の会場の一部がオープンとなり、様々なイベントが実施される。

【#サンリオVfes】サンリオバーチャルパレード「Musical Treasure Hunt」【SANRIO Virtual Festival 2023 in Sanrio Puroland】

 とりわけ体験してもらいたいのは、毎日3回実施されるバーチャルパレードだ。『VRChat』にて開催されるパレードという触れ込みだが、その本質は現実世界で見るパレードとは次元が違う、イマーシブな体験コンテンツだ。

 「音楽と宝探し」というテーマのもと、キティちゃんたちサンリオキャラクターとともに冒険の旅をしていくパレードは、これまでのサンリオのイメージを乗り越えると同時に、サンリオだからこそできる物語と演出が展開される。

 誇張抜きで、現在『VRChat』で体験できるコンテンツの中でもトップクラスに素晴らしい。恐るべきことに、このパレードは無料で体験できる。いますぐ『VRChat』をインストールして見に行ってほしい。

【 #サンリオVfes 】ラジオ体操 6時の回 会場の様子をお届け!【SANRIO Virtual Festival 2023】
【 #サンリオVfes 】ラジオ体操 7時30分の回 会場の様子をお届け!【SANRIO Virtual Festival 2023】

 コミュニティとのコラボ企画も開催される。1月14日からは、朝から「VRCラジオ体操」「Questラジオ体操部」とのコラボ企画として、『VRChat』内でのラジオ体操がスタートした。朝に人が集まり、ラジオ体操をする健康的なイベントに、サンリオキャラクターも参加しているようだ。このイベントは1月20日まで毎日実施される予定だという。

 同じく1月14日からは、学園型イベント「私立VRC学園」のコラボ企画もスタートする。「私立VRC学園」は、「学園」のフォーマットのもと、様々な「講座」の受講や、友人作りができる人気イベントだ。

 今回のコラボ企画は、『VRChat』の初心者向けノウハウや、『VRChat』に根付くカルチャーの解説、さらに「SANRIO Virtual Festival 2023」プロデューサーによる”開催秘話”など、様々な特別講座を開講する。このイベントを通して『VRChat』そのものに興味を持った人にオススメのイベントだ。

 2021年の開催でも、そのクオリティから大きな話題となった「SANRIO Virtual Festival」だが、今回は会場の事前オープンとコミュニティコラボによって、イベントの厚みが増している印象だ。そしてバーチャルパレードは、この1年を通してサンリオが得たバーチャルへの知見と熱量が、これ以上となく注ぎ込まれている。一般ユーザーはもちろん、業界関係者も必見のメタバースイベントとなることは、間違いないだろう。

 こうしたイベントの会場にも選定される『VRChat』だが、国内のコミュニティやユーザーの歩みは、意外と記録として残っていなかった。コミュニティは割とクローズドとなりやすいので致し方ない傾向ではある。

 そんな中、2017年2月のアーリーアクセス開始からの歴史を記録する動きが現れた。『VRChat』ワールド「VRChatここから始めました」では、複数人から募集された様々な出来事が、円周上の年表として大きく列記されている。企業主催イベントから、アバター発売、コミュニティ発足まで、なかなか可視化されてこなかった情報も日付とともに記録されている。

 日本における『VRChat』がどのように広まっていったか、歴史をたどる重要な施設である。もちろん、長く遊んでいる人には思い出を振り返るよい機会になるだろう。

 一方のVTuber界隈では、あるVTuberが大きな話題をもたらしている。AIによって自律して動くVTuber『Neuro-sama(ネゥローサマ)』だ。チャット欄のコメントを拾い、自ら人工音声で発話するのみならず、『Minecraft』のような複雑なゲームも一人(?)でプレイできるのが最大の特徴だ。Twitchで配信していた彼女の、もはや人間のゲーム実況配信と遜色ないあり方に、海外で人気が爆発していた。

 ところが、1月12日に『Neuro-sama』のTwitchアカウントが突如としてBANされた。理由として有力視されているのは「ホロコーストの否定」だ。『Neuro-sama』の中身は不明なものの、こうしたオープンなAIは、悪意あるユーザーとのやりとりによって差別的・攻撃的な言動を模倣してしまう可能性がある。大きな注目を集める中で、そうした側面が明らかになってしまったと見て取れる。

 AIで稼働するVTuberは、人間のようなメンタル不調が起きない(はずだ)。しかし、ピュアなAIほど”悪意なく”なにかを真似てしまう。本連載の年始更新でも、私は「AI VTuber」を取り上げたが、1月前半で思ったより早く形になってしまったのと同時に、課題も明らかになったと言えるだろう。今年全体を通して、この課題がどこまで解決され、進化していくかが楽しみだ。

「バーチャルサンリオピューロランド」を体験 ライブフロア、カフェ、そしてサウナスペースまで

昨今、世界中で注目されているのが 「メタバース(Metaverse)」だ。  長年、SNSプラットフォームとして業界を牽引して…

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