「フェアユースかそうでないかを判断できる一歩目に」 アドビ×ニコンがデジタル作品の盗用&改変防ぐ取り組みを前進させる

アドビ×ニコン、デジタル作品の盗用&改変防ぐ取り組み

 12月14日、アドビ株式会社は株式会社ニコンとのパートナーシップに関するラウンドテーブルを行った。

 これは、10月19日に発表した、Adobeが主導する「コンテンツ認証イニシアチブ(Content Authenticity Initiative)」と、光学機器大手メーカーとして知られるNikonのパートナーシップ締結に関するもの。会場ではアドビ株式会社 マーケティング本部 マーケティングマネージャー 田中玲子氏、株式会社ニコン 映像事業部 UX企画部 参事 井上雅彦氏、株式会社ニコン 映像事業部 UX企画部 猪原秀己氏らが、今回の取り組みに関する解説やデモンストレーションを行い、メディアからの質問にも回答した。

 そもそも「コンテンツ認証イニシアチブ(Content Authenticity Initiative)」とは、AdobeとTwitter、NewYork Timesらが発足した団体で、一般ユーザーが簡単に画像などを加工できるようになってしまった時代にディープフェイクに向き合うなかで生まれた課題、NFTなども含めたデジタル作品の盗用などを防ぐべく、真贋性を検証するために仕組みづくりをおこなっている組織だ。もう少し簡潔にすると「デジタルメディアの出所を明示するシステムの構築」「デジタルクリエイターが客観的事実を認識した上で共有できるツールの提供」「消費者に対すする目の前のコンテンツの真正性と信頼性を確認できるツールの提供」を行っていくところ、と思っておけば間違いないだろう。ちなみに800社以上のメンバー(会社)が参加しており、ニコンは2021年にデジタルデバイスメーカーとして日本で初めて加入した。

 今回はそんなCAIに対応した初のカメラとしてNikonの『Z9』が発売されたことを起因としたラウンドテーブル。実際にデモンストレーションも実施された。CAI対応のカメラ。MAXのアメリカ海上でデモを行ったのだが、日本ではまだだったため、今回お披露目となった。

 井上氏はこの取り組みについて「画像の信頼性向上に貢献し、映像産業に携わる人々が安心して捜索時活動や事業活動を行える社会の実現とともに、事業を活動を支える社会の実現とともに、映像作品の更なる発展に貢献する」と所信を表明。猪原氏は「自身もオフに写真家活動をしていて盗用されることも多いため、こういった機能が使えることが自分の作品を守る手段にもなる」と語った。

 真贋性を見分けるために使うのは「Verify」というCAIが作ったツール。Webサイト上でも見れるようになっているので、一度アクセスしてみてほしい。ここではCAIの形式にのっとって作られた・変更が加えられたファイル(C2PA)の変更履歴をみることができる。Adobe Stockの写真もしっかりと何が元なのかがメタデータとして記されており、しっかりと自分のデータを守ったり、他者の権利を侵害している素材を使わないようになっていることを確認できた。

 その後の質疑応答では、載せるデバイスがハイパフォーマンス機に限られること、今後は音声、動画、イラストなどすべてに適用していくつもりであることなどが明かされた。細かい仕様についてはまだまだ議論を重ねてアップデートしていくことが必要とされているとしたうえで、「まずはフェアユースかそうでないかが判断できることが一歩目」と“グレーになっているか、履歴が残っているか”がわかるようになることから、さまざまな形式やファイルに適用でき、確認できるようになることが必要なのだと述べた。

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