”学校×オープンワールド”という挑戦が魅せた、シリーズの原点を問う『ポケモン スカーレット・バイオレット』のストーリー

『ポケモンS・V』の忘れられないストーリーを語る

 「チャンピオンロード」、「レジェンドルート」、「スターダスト★ストリート」をクリアすると、各ルートで出会った仲間たちとパルデアの大穴(エリアゼロ)に突入する最後のストーリーがスタートする。

 主人公たちは何が待っているかわからないエリアゼロへ旅立つことになるが、これまでの3つのストーリーが思い出され、ワクワクとドキドキが止まらなかった。

 オーリム博士(フトゥー博士)からエリアゼロの最深部まで来るように依頼され、厚い雲に覆われた地下世界に挑むのだが、エリアゼロには地上のパルデア地方とはまるで違った景色が広がり、さまざまなポケモンたちが生息している神秘的な光景に息を呑む。

 エリアゼロではいくつかの拠点を周り、最深部にあるラボを目指すのだが、そこで我々は数々の異変や違和感に見舞われることとなる。ゲーム開始からずっと冒険を共にしてきた伝説のポケモン・コライドン(ミライドン)の正体。エリアゼロに生息する見慣れない姿形をした数々のポケモン、たどり着いたラボで明らかになる物語の結末とはーー。

あなたが見つけた宝物は

 3つの異なるストーリーには、たくさんのメッセージが込められていた。友達とポケモン勝負を通して切磋琢磨し、仲間を信じ、ポケモンとの絆を深める。これらは子供も大人も関係なく、「ポケモン」シリーズが我々プレイヤーに絶えず説き続けてきたことそのものだった。ストーリー終盤、とある人物が我々に語りかける言葉にも、そんな思いが込められているように感じた。

 当たり前すぎて忘れてしまうような「ポケモン」というゲームの本質を丁寧に分解し、それらをオープンワールドの広いフィールドに落とし込むため、3つのストーリーに散りばめたのが本作と言えるだろう。また移動機能やわざマシンの解放、LPの増加というゲームのシステムに絡めることで、「ゲームをやらされている感」をなるべくなくそうとする意図も読み取れた。

 本作で迎えた物語の結末に対する反応も、当然ながら人それぞれだろう。しかし筆者は、エリアゼロから帰路に着く面々の後ろ姿を見つめていると、とてもまぶしくかけがえのない宝物のような気持ちが、胸に沸きあがってくる気がした。

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