幻のゲームの行方やいかに? サービス終了が迫る「ニンテンドーeショップ」に残された5つのナゾ

「ニンテンドーeショップ」に残された5つのナゾ

 ニンテンドー3DSシリーズ、WiiUのオンラインストア「ニンテンドーeショップ」(以下、eショップ)が、2023年3月28日の午前8時59分をもって完全終了を迎える。

 2022年2月16日の正式発表以降、同ショップには終わりを見据えた数々の動きが見られる。主なものには格安セールの実施、一部タイトルの配信終了が挙げられるだろう。

 任天堂も発表当日、プレイヤーそれぞれの3DSシリーズ、WiiUのプレイ記録を元に、グラフを生成して思い出として振り返る特設ページ兼WEBサービスを公開。3DSシリーズから数え、10年以上に及んだ時代の終わりをユーザーに実感させるものになっている。

 3DSシリーズ、WiiUともに発売から現役を退くまで、その動向をリアルタイムで体験してきたひとりのユーザーとしては、今回のサービス終了には侘しさを覚える限りだ。

 一方で、こんな思いも抱いている。「いくつかのナゾを残したまま、終わりを迎えてしまうのか?」と。

 ナゾというのは、配信を告知しておきながら本稿公開時点でも未発売だったり、奇妙な形で情報を出して以来、音沙汰無しのゲームたちのことだ。このように、実はeショップには「結局、あれはどうなった?」と物申したくなるナゾが残されているのである。

 サービスの完全な終了まで、一定の猶予が残されている2022年下半期の現在。そんなナゾの中でも特段気がかりな5つをピックアップし、振り返りも兼ねてここにつづる。

 願わくばサービス完全終了までに任天堂が行動を起こし、「ナゾ解明!」へと至れば幸いなのだが、果たして……?

後日発売のはずが未発売の『スーパーマリオブラザーズ デラックス』

 まず最初に取り上げるのが、『スーパーマリオブラザーズ デラックス』。

 本作は1985年にファミリーコンピュータ(以下、ファミコン)用ゲームソフトとして発売され、世界的な大ヒットを記録した横スクロールアクションゲーム『スーパーマリオブラザーズ』を携帯ゲーム機『ゲームボーイカラー』向けにリメイクした作品だ。内容は画面比率を除けば原作そのままだが、「CHARANGE」に「VS.GAME」といった新モードが追加されており、よりやり込み甲斐のある作りへと進化した、文字通りの”デラックス版”である。

 日本では、コンビニエンスストア「ローソン」にて展開されていたゲーム書き換えサービス『NINTENDO POWER(ニンテンドウパワー)』向けの完全新作として、2000年3月1日に発売。海外(北米、欧州)では、1999年にパッケージタイトルとして発売されている。

 また、2013年12月10日から2014年1月13日にわたって実施された「ニンテンドーネットワークID登録・感謝キャンペーン」では、登録者向けの無料プレゼントとして提供された(当時の報道)。かつ、キャンペーン終了後には「バーチャルコンソール」向けのタイトルとして、後日販売予定との告知も出ていた。

 ところが、件のキャンペーン終了から8年以上が経った2022年現在もなお、本作は発売されていない。公式にも販売中止になったとの発表はまったくなく、気づいたころにはニンテンドー3DSのeショップ開始当初の目玉のひとつだったゲームボーイ、ゲームボーイカラーの「バーチャルコンソール」は新タイトルの供給を停止。そのままサービス終了が迫りつつあるのだ。

 後日販売予定との告知は、一体何だったのか?結果的にその詳細が分からないまま、ナゾとして残されてしまっている状況だ。

 ちなみに、本作と同じくニンテンドウパワーの完全新作タイトルとして発売されたゲームボーイ・ゲームボーイカラー用ゲームソフト『バルーンファイトGB』は、2022年現在もeショップで配信中である。

シリーズで唯一、キャンペーン限定の非売品にされた『ゲームボーイギャラリー3』

 次に取り上げるのは1980年代前半に発売され、一世を風靡した『ゲーム&ウオッチ』のタイトルを復刻・リメイクした『ゲームボーイギャラリー』シリーズの3作目、『ゲームボーイギャラリー3』だ。

 オリジナル版は、1999年4月に発売。『エッグ』、『グリーンハウス』、『タートルブリッジ』、『マリオブラザーズ』、『ドンキーコングJR.』の計5タイトル+αを収録しており、前2作を大きく上回るボリュームを売りにしている。

 原作の『ゲーム&ウオッチ』版を忠実に再現した「むかし」、現代流の解釈を加えてリメイクした「いま」の2種類のモードも前2作から継承されているほか、ゲームボーイカラーへの対応を果たしたことで、グラフィック全般も鮮やかになっている。

 そんな『ゲームボーイギャラリー3』は2014年、『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS』、『ポケットモンスター オメガルビー&アルファサファイア』の2つの3DSタイトルを購入したプレイヤーを対象にした「スマブラ・ポケモン 両方買うとプレゼント!キャンペーン」の特典として提供された(当時の報道)。

 経緯は前述の『スーパーマリオブラザーズ デラックス』と似ているが、こちらは明確に非売品と公表しており、キャンペーン終了後もバーチャルコンソールタイトルとして販売されることはなかった。

 その後、『ゲームボーイギャラリー』は日本未発売(海外では発売)の幻のシリーズ4作目『ゲームボーイギャラリー4』をWiiUのバーチャルコンソール向けに配信。2022年現在もサービス完全終了までは購入可能となっている。前2作こと『ゲームボーイギャラリー』、『ゲームボーイギャラリー2』もまた、ニンテンドー3DSのバーチャルコンソール版が提供されており、同じくサービス完全終了までの間は購入可能だ。

 なのに、『ゲームボーイギャラリー3』だけはキャンペーン限定の非売品となり、購入不可能な存在になってしまった。後の『ゲームボーイギャラリー4』を思えば、当時の日本では見果てぬ夢となったシリーズの全集結が実現したであろうに、なぜ、このように歯抜けした形にしてしまったのかは、純粋にナゾであるとしか言い様がない。

 そもそも1999年当時、普通に店頭でも販売されていた『ゲームボーイギャラリー3』を非売品にした意図とは、なんだったのであろうか?

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