“PS5独占偏重の新作発表”で浮き彫りになった「ハードの世代交代」 『State of Play』を機にその是非を考える
9月14日、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、ソニー)の新作情報番組『State of Play 9.14.2022』が配信された。
今後発売予定の注目作がいくつもアナウンスされるなか、話題を集めたのが“PlayStation 5独占でリリースされるタイトル”の存在。SNS上には、「買えないハードで新作を発表されても……」などといった声もあった。
本稿では、『State of Play』の番組内容を入り口に、「PS5偏重となった新作発表の是非」を考えていく。
PS4対応タイトルは1作のみ。ハードの世代交代が浮き彫りに
今回の配信では、3D対戦格闘の人気シリーズ『鉄拳』から最新作『鉄拳8』の存在が発表されたほか、『龍が如く 維新!』のリメイク作品『龍が如く 維新! 極』の発売時期が2023年2月に決定するなど、いつもどおり多くの情報が解禁された。そのなかで話題を集めたのが、PlayStation 5独占でのリリースとなるタイトルたちだ。
『マグナカルタ』や『ブレイドアンドソウル』などの作品で知られるSHIFT UPからは、アクションタイトルの『Stellar Blade』が2023年に、アメリカ・シアトルに拠点を構えるディベロッパー・Ironwood Studiosからは、一人称視点のドライビングサバイバル『Pacific Drive』が2023年に、コーエーテクモゲームスが誇る開発チーム『Team NINJA』からは、アクションRPG『Rise of the Ronin』が2024年に、PS5独占でリリースされる予定だという。
このほかにも、バンダイナムコエンターテインメントの新作TPS『SYNDUALITY(シンデュアリティ)』や、PlayStation VR2対応タイトル『DEMEO』などが発表されたが、こちらもPS4には対応しておらず、同機で遊べる新発表のタイトルは、先に紹介した『龍が如く 維新! 極』のみだった。あらためてハードの世代交代が浮き彫りとなった今回の配信。PS5偏重の新作発表に、期待と不満の声が散見されている状況だ。
「PS5偏重の新作発表」その是非を考える
今回の『State of Play』は、ユーザー置き去りの新作発表だったのだろうか。同番組やそれに対する世の反応をきっかけに、「PS4に対応しないタイトルを発売することの是非」を考えたい。
2020年11月にローンチを迎えたPS5は、開発・発売するソニーの海外重視の戦略や、世界的な半導体不足などを背景に、国内では流通不足の状況が続く。累計販売台数の比較では、日本が約150万台(※1)であるのに対し、世界全体では約2,000万台(※2)と、およそ13分の1。この数字には国内で横行する転売目当ての販売数も含まれるため、実際にユーザーの手元に届いている数はさらに少ないものと予測できる。
一方、PS4は、2022年9月時点で約800万台 (※3)を売り上げている。すべての所有者がPS5の購入に積極的ではないとしても、まだまだその流通量には大きな溝がある現状となっている。
※数字はともに、2022年3月末時点のもの。
今回の新作発表をめぐる騒動の背景にあるのは、こうした流通量の問題だ。PS4以前のハードと同様の生産・流通過程をたどってさえいれば、前世代機に対応しないタイトルを、新世代機のローンチから約2年のタイミングで発表したとしても、ネガティブな話題とはならなかったはずだ。取り巻く環境のせいで、番組やラインアップされるコンテンツが批判の対象となっている点には、残念と言わざるを得ない。
反面、ソニーを含むメーカー側もおそらく、市場の動向を注視しつつ、開発や発表のタイミングをうかがっていたに違いない。今回存在が明らかとなったタイトルは、大半が2023年以降のリリース。つまり発売される頃には、流通不足の現状もある程度解決している可能性がある。