PS5は2022年になっても購入困難? 需要は「簡単に折れない」
依然として購入困難な状況が続いているPS5に関して、品薄状態が長期化するという見通しが明らかになった。その一方で、PS5向け次世代VRシステムに関して朗報が届いた。
PS5の需要は「簡単に折れない」
Bloombergは10日、ソニーグループの十時裕樹(とどき ひろき)最高財務責任者(CFO)のPS5に関する発言を報じた。同CFOは、4月末のアナリスト向け説明会においてPS5の需要は今年中に落ち着くことはなく、2022年に「かなりのデバイスを確保して増産体制をつくっても、キャッチアップできるとはたぶんならない」と発言した。この発言は、匿名を条件に説明会に出席した関係者から伝えられたものだ。
PS5の前期(2021年3月期)販売実績は780万台に達しており、今後も1,480万台の販売を目指している。しかしながら、PS4の実績などを考慮するとPS5の需要は「そんなに簡単に折れていくということはあまり考えていない」とも十時氏は語った。
以上の説明が語られたソニーグループの2020年度(2021年3月31日を終了した1年間)の業績説明会の資料は、4月28日に公開されている。その資料によれば、2020年度の連結売上高は前年度から9%増の8兆9,994億円、連結営業利益は1,264億円増の9,719億円と、いずれも過去最高を更新した。
PS5の販売業績が含まれるゲーム&ネットワークサービス分野(G&NS)の2020年度の売上高は、前年度から34%と大幅増の2兆6,563億円となった。また、今年3月におけるプレイステーションプレイヤーの総ゲームプレイ時間は、コロナの影響がなかった2019年3月と比べても約20%増と引き続き好調を維持していることも報告された。
半導体不足はスマホ業界にも悪影響
PS5の品薄状態が続いている一因には、同ゲーム機に使われている半導体の世界的不足がある。テック系メディア『ZDNet』は4日、半導体不足が引き起こす現象を解説した記事を公開した。その記事によると、2021年1月における半導体市場の売上高は前年同時期比13.2%増の400億ドル(約4兆4,000億円)に達した。売上高が増えているものも、依然として半導体の需要は供給を上回っている。
半導体不足の悪影響はゲーム業界だけではなく、スマホ業界も受けている。そうした悪影響の一例として、Samsungのモバイル部門トップのKoh Dong-jin氏が次期Galaxy Noteを2021年に販売できないかも知れないと発言したことが挙げられる。また、中国スマホメーカーのXiaomiは、半導体不足によって高騰した製造コストをスマホ価格に転嫁する必要があるかもしれない、という見解を示している。
調査会社ForresterのリサーチディレクターであるGlenn O'Donnell氏は、半導体不足の悪影響は家電業界と自動車産業にも及ぶと指摘している。そのうえで、半導体不足は今後2年間は続くだろう、とも語った。同氏の発言が正しければ、2023年になってもPS5が購入困難な状況が解消されないことになる。