ラランド・ニシダはただの"クズ芸人"なのか? 個人チャンネルでしか分からない別の魅力

ラランドニシダはただの"クズ芸人"なのか?

 「ララチューン」でのラランドにハマった人は、ニシダの個人チャンネルである「うんこチャンネル」もぜひおすすめしたい。

 世間ではクズとされているニシダだが、個人チャンネルではそのクズさを逆手に取ったコンテンツで高い評判を得ている。コメントでは、「前向きになれる」、「話し方に頭の良さが伝わる」、「なんだかんだニシダの人の良さがでている」との声が多くみられるのだ。「人生を終わったと思っている君たちへ【中退、受験失敗、留年…】」ではニシダがファンから寄せられた悩みに答えていくのだが、数々の経験を経て堂々としているニシダを見ていると、元気になれるので筆者もオススメである。

 また、ニシダが昼食を取りながら雑談をする「飯食って話してるニシダ」では、ラランドでは少し珍しい長編で、ニシダが「自分のダメなところ」、「読書が好きな理由」、ドラマ出演をきっかけに得た「演技の上手い人の特徴」などを20分越えの動画で語っている。スタッフとの会話では、真面目に自分の考えを話す、ニシダの“クズ以外の部分が”垣間見れ、ギャップを感じるのではないだろうか。

  「自分の生活に主体性がない」「こだわりがない」と自分を評価しつつも、「ニシダ更生プログラムでの反響」については、自分の立ち位置を客観視しつつ、制作サイドや視聴者に配慮した言葉選びが印象的である。ララチューンやうんこチャンネルの構成作家であるライプは、ニシダがクズ芸人と括られていることに違和感があり、うんこチャンネルではニシダの取扱説明書として「ニシダの本質を掘り下げたい」と語るなど、スタッフ陣がニシダに可能性を感じていることがわかる(https://note.com/up4/n/n3acab7fc82ac)。

 このようにニシダの個人チャンネルを見ると、「ニシダはただのクズではない」「本当はどういう人なのだろう」と惹き込まれてしまう。だがこれは、サーヤ率いるスタッフの思惑通りなのだろう。動画も下ネタ回がほとんどと思いきや、「最近読んで良かった本」や「ニュースを斬るニシダ」など、テレビでのイメージとは違い”真面目に語るニシダ”や”知性のあるニシダ”が見れる。一方で、テレビではクズ芸人として出演し、サーヤのTwitterやInstagramのストーリーでは定期的にニシダの寝坊や浮気などの”クズネタ”が投稿されており、個人チャンネルは「知る人ぞ知る」ニシダのコンテンツとして成立し、視聴者に「ニシダをもっと知りたい」と思わせてくれる。

 サーヤはなぜニシダとコンビを組むのか、ニシダは本当にただのクズなのかーー。ラランドが「優秀なサーヤ」と「クズなニシダ」のコンビに違いはない。しかし、ニシダがただクズなだけでは、ここまで人気にはならないであろう。ラランドの魅力は、「クズなニシダ」が、実は1人でもコンテンツとして成立つほどの魅力や可能性を秘めており、そのクズさとのギャップが、視聴者を惹きつけるエンターテインメントになってしまうところにある。さらにNGのないニシダは、そのエンターテインメントの自由度を広げ、アイデアに富むサーヤにとっては最高の相方になる。つまりラランドは、単に互いを引き立てる”凹凸コンビ”ではなく、個々のキャラクターがそれぞれ別の場所で光る相乗効果を持っているのだ。

 今後も「うんこチャンネル」を応援し、この記事をきっかけにニシダのギャップに魅了される人が増えることを祈りたいと思う。

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