連載「MCUの『ゲーム横丁8丁目』」第6回:レトロゲームの音楽(後編)
懐かしくて面白い、ファミコン世代のゲーム音楽における「名曲」と「迷曲」たち
思い出深い特徴的なゲーム音楽
個人的に推しているゲーム曲は、ビック東海の『チェスター・フィールド 暗黒神への挑戦』(1987年7月30日発売)ですね。
このゲームはフィールドマップの曲ももちろんいいんですけど、建物に入ったときに流れる曲が特にカッコいいです。ノイズの使い方が秀逸です。このノイズをスネアにしたりするのは、最初に誰が生み出したんでしょうね。
ナムコの『ディグダグ』(1985年6月4日)はキャラクターが歩かないとBGMが流れないんですが、それも画期的でした。自分が動いてないと音が出ないゲームってすごいなぁと思いました。ハドソンの『ドラえもん』(1986年12月13日発売)もすごいですね。この曲はボンバーマンの曲とかを作った竹間淳さんなんですけど、ゲームの曲は、ドラえもんの曲そのものじゃないのにそれを彷彿とさせるハドソンさんは、やっぱりアレンジが絶妙ですね。ハドソンスタイルなんだろうな。『ドラえもん』の主題歌になりそうでならない、気持ち悪いけど気持ちいい音でした。
余談ですけど『ファンタジーゾーン』のゲーム内に出てくるショップのBGMと、ウエルシア薬局の店内に流れているBGMの一部が似ているんですよね。あれ、ウエルシア薬局にセガ信者がいるのか、Hiro師匠ファン、『ファンタジーゾーン』ファンがいるんじゃないかというぐらい一部アレンジが似ているんです。
あと、アスキーの『ボコスカウォーズ』(1985年12月14日発売)。元々はパソコンゲームなんですが、ファミコン版には最初から歌詞が付いていました。BGMはちょっと怖い感じですけど、取説(取扱説明書)にBGMの楽譜と歌詞が載っていました。ゲームは運ゲーといわれるほど難しかった記憶がありますが、「すすめ~、すすめ~、ものど~も~♪」と歌いながらプレイしていました。これも耳に残る曲ですね。
ハドソンの『ボンバーキング』(1987年8月7日発売)は、これも国本剛章さんの曲です。もちろん曲がいいんですが、面白いのは「ボンバーキングのテーマ」という主題歌には「緑の大地は、はるかな夢~♪」とこれも歌詞が取説に載っていて、高橋名人がカバーして歌っています。
それとファミコン版では、1-1をクリアすると「カラオケモード」が登場して、タイトル画面でカラオケが選べるようになります。テーマソングに合わせて歌詞が表示されて、ファミコンのコントローラーのマイクを使って歌えるんです(笑)。
ちなみにこの曲はカッコよくて、僕もカバーしています。
ナムコの『マッピー』(1984年11月14日発売)は、名曲中の名曲ですね。これは、大野木宣幸さんの曲です。
『マッピー』は、ボーナスラウンド(ステージ)の曲がまだ最高なんですよね。ゲーム開始直後は、2面クリアでボーナスラウンド、その後は3ラウンドクリアごとにボーナスラウンドがあって、本当にいい曲です。
もう、この辺の曲は何の疑いもなくカッコいいので、さっきのベスト5には入れてないんですけど、もう殿堂入りの曲といっていいでしょう。ベスト5に入れるだけ野暮です。
それと、カプコンの『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』(1988年12月24日発売)も殿堂入りですね。『ロックマン』の1のエンディングのBGMが『ロックマン2』の曲で、2に続いているという設定なんですよね。
『ロックマン2』の音楽は、立石孝さん、松前真奈美さん、坂口由洋さんですね。この曲は、もうファミコンの3和音+ノイズで作った最高峰なんじゃないかなと思うぐらい好きですね。個人的な感想ですけど。
『ロックマン』に限っては、全部ロックマンイズムというか、全曲カッコ良くて、もう、ヒーロー感、ザ・ロックマンサウンドという感じですね。
タイトーの『スペースインベーダー』(1985年4月17日発売)は、あれはあれで砲台のビーム砲の音とか、インベーダーが迫ってくる音とか、UFOの飛来する音など、独特の効果音がBGMじゃないのに耳に残っていますね。
最後にビック東海の『ゴルゴ13 第一章神々の黄昏』(1988年3月26日発売)を紹介します。このゲームが面白いのは、アクションゲームなんですけど、ゲームの途中でポーズボタンを押すと、「けもの 狙う 非じょうの さが~♪」と画面が歌詞付きのカラオケスタイルになって曲だけ流れるんです。ゲームに疲れたら歌ってということですかね(笑)。
この曲は、何の曲なのかわからないですけど、ゲーム用の曲なのかな? オリジナルの曲なんでしょうね。この当時は、まだゴルゴ13のアニメはないですもんね。とにかく疲れたらポーズでカラオケですね。
こうやって改めてファミコンゲームの曲を聴いていると、本当にファミコンの楽曲はいいですね。いまの子どもたちが聴くと、逆に新鮮なんでしょうか。
いまの最新ゲーム機の曲は、ある意味BGM的な曲が多くて、キャッチーな曲は少ないように感じます。だからこそ映画的な体験もできるのですが、大人になってその曲が耳に残っているのかどうかは疑問です。
ファミコンゲームは、ゲームの難易度も難しく、何度も叩きのめされるというのもありますから。ゲームを何回も繰り返し、とにかく同じ曲を聴かされますからね。
いまのゲームはチュートリアルなどがあって親切だし、優しいし、なかなか死ぬこともないから、たしかにいい曲だなと思っても、ファミコン時代のようにそんなに回数は聴かないですよね。そういうゲームのプレイ環境も影響しているんじゃないでしょうか。
また、ファミコンは音源の制約であったり、メモリの制約であったり……なんというか“制約だらけ”だからこそある意味でブッ飛んでいて耳に残る音楽が生み出されたのだと思います。