PULVEREX・Ftyan選手が語る、『Apex Legends』競技シーンの変化 PLAYOFFS以降の日本チームの存在感

Ftyan選手が語る、『Apex』競技シーンの変化

 7月7日から7月10日にかけて アメリカ・ノースカロライナ州ローリーのPCNアリーナで、バトルロイヤルシューティングゲーム『Apex Legends』の世界大会『Apex Legends Global Series(以下、ALGS)』の決勝大会が開催された。

 その大会において大きく注目を集めた日本チームがある。「#PVXWIN」のハッシュタグでTwitterトレンド入りも果たしたPULVEREX(パルブレックス)だ。本チームは、『ALGS SPLIT2 PLAYOFFS』にて世界3位入賞を果たしたTeam UNITEに所属していた3人が移籍した新チームで、前大会の成績から上位入賞も大いに期待されていた。

 しかし、大会直前にsaku選手の新型コロナウイルス感染症への感染が発覚。さらには大会1日目に代理として出場していたコーチのちゃんりよ選手も感染が発覚し、大会2日目からPULVEREXは、Ftyan選手とLejetta選手のデュオでの挑戦となった。

 だれもが絶望視するなか、Ftyan選手とLejetta選手は大健闘。圧倒的不利の中なんとかポイントを稼ぎ出し、デュオで10位に滑り込み、大会3日目へと望みを繋いだ。その瞬間会場からは大観衆による「PVX」コールも飛び出し、観戦していた多くの視聴者を虜にしたのだ。

 今回、リアルサウンドテックでは、「PULVEREX」のFtyan選手にインタビュー。『Apex Legends』における初の有観客オフラインでの開催となった本大会の感想を語ってもらった。

ーー前回のPLAYOFFS以降、チームでどんなことを話し合い、今大会に挑みましたか?

Ftyan: 戦術的なところでいうと、新しくニューキャッスルが追加され、世界大会の環境を受けてメタの変化を想定し、「構成からクリプトを外してみたいね」などと話し合っていました。しかし大会の直前までスクリムがなかなかできなかったこともあり、いろいろと実験することができなかったので、それならば前回使用した練度の高い構成をそのまま流用し、勝てるビジョンを探っていこうと方針を固めていきました。

ーーPVXというチームの特徴を教えていただけますでしょうか?

Ftyan:構成的にはそのクリプトとバルキリー、ワトソンと攻め気を抑えて順位を上げていくことを主軸にしたチームです。派手にキルを重ねて魅せるというよりかは、安定性を求めて、1つの大会を通して勝利を狙っていく、長い期間を通して安定した成績を取れるようなことをイメージとして持ってプレイしています。

ーーPLAYOFFS時は「日本リージョンは見向きもされていなかった」というお話しもされていました。PLAYOFFSでの日本チームの躍進を経て今大会で日本リージョンへの目線の変化などは感じましたか?

Ftyan:前回のPLAYOFFSの前は、例えば「Team UNITEってどこのリージョンのチーム?」みたいに思われているような感覚があって。PLAYOFFSが終わってから、少なくともちゃんとチームとして認知されているというのは実感できるようになりましたね。あと、日韓リージョンでは、ワトソンを使う構成が早くから流行っていたんですけど、PLAYOFFS以降にスクリムでも、海外リージョンがワトソンを入れた構成を試してたりしていて、少しは影響があったのかなと感じました。

ーー今回初の有観客での開催となりましたが、会場の雰囲気はいかがでしたか?

Ftyan:有観客の大会は初めてだったのですが本当に熱気がすごくて、単純に楽しかったです。プレイによる影響に関しては、僕らが万全の体勢で臨めなかったということもあり、落ち込んでしまったというか、「まあ勝てないんだろうな」みたいな気持ちで挑んでいたところも正直ありました。しかし現地での生の歓声や応援が、モチベーションやメンタル面を切らさずに最後まで諦めずプレーできたことにつながりました。

ーーFtyan選手はそういったオフラインの場で緊張がプレイに影響したりすることはありますか?

Ftyan:そうですね、僕はインタビューのようなときは緊張するんですけど、実際にプレイしている間は見られてることに緊張することはほとんどなく、むしろテンションが上がるというかパフォーマンスが上がる感覚がありますね。

ーーコロナの影響でフルメンバーではない参戦、さらには途中からDuoでの参加となりました。Twitter上で「Duoの感覚を掴んだ」とおっしゃっていましたが、メンバー変更が行われる中でどのように話し合いを行い、戦術の変更を行っていったのでしょうか?

Ftyan:Duoでの参戦が決まったときから同じくDuoで挑んでいる他の日本チームと雑談程度に意見交換をしたのですが、こういった場では3人チームと相対して自分たちがDuoチームだとばれた瞬間に、突っ込まれて負けてしまうといったことが多々発生します。自分たちでプレイしてみても、ダメージトレードとか関係なしに一方的に倒されてしまうので、トリオのチームと正面から戦うことはもうできないと判断しました。その前提で、いち早く他チームの殺気を察知して行動することが大切だなと感じましたね。そして自分たちの気配を悟られないために他チームとの適切な距離感を試合を重ねて感覚的に少しずつ掴んでいくといった作業でした。

ーーLosersBracketの起死回生をかけた一戦では、会場内で「PVXコール」が鳴り響いていましたね。

Ftyan:諦めずに頑張ってよかったというか、やっぱり嬉しい気持ちが大きかったですね。大きな声援があってこそ諦めずに最後までプレイすることができたと感じました。

ーー今後のチームとしての目標、そして選手個人として今大会で見えた課題や目標などあればお聞かせください。

Ftyan:前回大会で世界3位をとって、今回こそ勝ってやるという気持ちで挑んだ矢先こういった形になってしまい、自分のなかでは不完全燃焼だったので、今後も目標は世界一と変わらず頑張っていきたいなと思っています。個人的には、いろいろとプレイ面やフィジカル面も含めて練度が足りていないと思っており今後高めていきたいなと。今回の大会で実際に観客からの応援を受けて、ファンの力をより感じたので、応援をしてくれるファンの方に何か貢献できたらなという気持ちも増しました。

ーー前回Reginiteとして優勝し、今回名前を改め出場したDarkZeroが連覇を成し遂げました。大会を通して海外のチームを見て注目しているチームや、そういった世界の強者に勝つために強化していかなければいけない課題などはありますか?

Ftyan:DarkZeroは本当に強かったですね。前回は1人助っ人参加という状況で優勝して、今回はそこに加え世界最強選手と言われているgenburten選手が入って、フルメンバーでもきちんと優勝するというので、本当に最強だなと。もう1チーム挙げると、FURIAが決勝でもかなりキルムープというかプレイ面で暴れていたので、チームのファイト力の強さを感じました。自分たちもマクロの動きの面だけでなく、ファイトのフィジカルの強さといったミクロの面をより強化していかないといけないなというのは感じたところです。

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