コンセプトは“JRPGからの脱却”? 『ポケモン スカーレット・バイオレット』新情報から見えてきたもの

『ポケモンSV』は“JRPGからの脱却”目指す?

 8月3日、『ポケットモンスター』シリーズの最新情報を伝える番組「Pokémon Presents 2022.8.3」が配信された。番組の目玉は、今年11月18日に発売予定となっている『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』(以下、『ポケモンSV』)の新情報だ。

 前作『ポケットモンスター ソード・シールド』(以下、『ポケモン剣盾』)以来、丸3年ぶりのナンバリング最新作となる同タイトル。今回明らかとなった新情報に、『ポケモンSV』開発に込められたコンセプトを見た。

胸高鳴る情報が目白押しだった「Pokémon Presents 2022.8.3」

【公式】Pokémon Presents 2022.8.3

 「Pokémon Presents 2022.8.3」では、今作初登場のポケモンとして、パピモッチ、ハルクジラの2匹が発表されたほか、新たなリージョンフォーム・ウパー(パルデアのすがた)の存在も明らかとなった。また、既存のポケモンからは、カイリューやニンフィア、ウインディ、アマージョ、サーナイトなど、60体以上がトレーラー内に登場。“待望のナンバリング最新作”というキャッチに恥じない、充実のラインアップが初お目見えとなっている。

 さらに登場人物では、すでに発表されていたオーリム博士、フトゥー博士、ネモにくわえ、クラベル、ジニア、ペパー、ボタン、グルーシャなどの新キャラクターが公開に。そのほか、コライドン、ミライドンという2匹の伝説ポケモンがオープンワールドを巡るための移動手段となること、「メガシンカ」「ダイマックス」に似たポケモンのパワーアップシステムとして「テラスタル」と呼ばれる新要素が盛り込まれることも発表された。『ポケモンSV』ではすべてのポケモンがテラスタルでき、一時的なタイプの変化・わざの強化が可能とのこと。新システムの登場にともない、新たなレイドバトル「テラレイドバトル」も実装されるようだ。

『ポケモンSV』のコンセプトは、“JRPGからの脱却”?

 シリーズファンにとっては、ワクワクの止まらない新情報がてんこ盛りとなった今回の配信。よりはっきりとしてきた『ポケモンSV』の輪郭には、シリーズが今作で目指す方向性のようなものも感じられた。それが“JRPGからの脱却”だ。

 JRPGとは、ターン制・コマンド選択型の戦闘システム、一本道(もしくはそれに近い)の攻略チャート、それぞれにはっきりと区別された街・フィールド・ダンジョンなどの特徴を持つRPGの総称。日本製タイトルにそのような性質を持つものが多いことから、「Japan(日本)」の頭文字を取り、「JRPG」と名付けられている。伝統的なスタイルである一方で古典的でもあることから、場合によっては「古臭い」「面白みがない」といったネガティブな文脈でも使用される。『ポケモン』シリーズのナンバリング作品もまた、大まかには同ジャンルに属するものだ。

 しかしながら『ポケモンSV』では、根幹となるシステムにシリーズ初のオープンワールドを採用。攻略順を特に指定せず、プレイヤーがそれぞれの好みで自由に世界を巡れる仕様を盛り込んだ。強いポケモンを育成するもよし、最強のパーティーを構築するもよし、図鑑のコンプリートを目指すもよし、珍しいポケモンを探すもよし、というわけだ。

 前作『ポケモン剣盾』では、ワイルドエリアが限定的にそのような仕様を持っており、その自由度の高さに好評が集まった。自然のなかで生きるポケモンたちの姿に、本来のRPGとは別の楽しみ方を見出したプレイヤーもいただろう。この要素は、準オープンワールド的な仕様を持つ『Pokémon LEGENDS アルセウス』(2022年1月発売)を経て、『ポケモンSV』へと昇華されている。「自由度」という形で具現化された一連の動きは、まさに“JRPGからの脱却”と呼べるものではないだろうか。

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