無料配布で再注目「バイオショック」は”テーマパーク”っぽい怖さが魅力 15年目を迎えた人気洋ゲーを振り返る

ホラーゲーム初心者でも楽しめる「バイオショック」の怖さ

 プラスミド・トニック・ウェポン類を駆使した多彩な戦闘スタイルに加え、脳裏に焼き付くスプライサーの面々は『バイオショック』の大きな魅力だが、個人的な意見として、「テーマパーク感覚で楽しめるホラーテイスト」についても言及しておきたい。と言うのも、舞台であるラプチャー内は狂人たちの住処であると同時に、プレイヤーを驚かせる様々なギミックが施されているからだ。

 筆者の実体験で言えば、芸術家「サンダー・コーエン」にまつわる「フォート・フロリック」での一幕。無機質な蝋人形が置かれているかと思いきや、”蝋を塗りたくられた人間の死体”だと気づき、リアルに小さな悲鳴を上げてしまった。これはあくまでも一例に過ぎないが、ラプチャー内には常に危険が蔓延しているせいか、プレイ中に何度も肝を冷やす場面に遭遇した。

 しかし、こうした怖さはスピリチュアル的なテイストではなく、どちらかと言えばお化け屋敷の雰囲気に近い。グロテスクな表現も一部で目立つが、全体を通して見ればビックリ要素が多く、ラプチャー全体を”一種の巨大なテーマパーク”として捉えることもできる。作中の舞台は科学の楽園から無法地帯へ没落したわけだが、テーマパークという風に考えると、スプライサーのうめき声や大音量の戯言も、まるで入園時のガイドアナウンスに聞こえてくるから不思議だ。

 また、同作はゲームオーバーになってもペナルティを受けずに復活できるため、FPSに慣れていないプレイヤーにも易しい作りとなっている。根気よく取り組めばエンディングを見ることも、そこまで難しくない(はず)。15年前のゲームなのでさすがに多少の不便さはあるが、それでも『バイオショック』特有の魅力は全く色あせていない。特に終盤にかけて激動を迎えるストーリーテリングは必見レベルと言える。

 今回は一作目の紹介のみとなったが、ビッグダディを主人公に据えた『バイオショック2』、舞台を空中都市「コロンビア」へと移した最終作『バイオショック インフィニット』も、ストーリー重視型FPSとしてハイクオリティに仕上がっている。まだ未体験の方は、この機会に「バイオショック」シリーズ三部作の世界に飛び込んでみてはいかがだろうか。

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