Oculus誕生から10年、メタバースとともに芽吹き始める新たなXRデバイスたち

メタバースとともに芽吹く新たなデバイスたち

 先週は業界動向とテックに関する話題が多かったように思う。とりわけ大きな動きといえば、Epic Gamesによる20億ドルの資金調達だろう。「メタバースを構築するという企業ビジョンの推進」のため、ソニーとLEGO Groupの持株会社・KIRKBIから10億ドルずつ調達したとのことだ。

 同社の『Fortnite(フォートナイト)』はバトロワ系タイトルとしても有名だが、戦闘を行わないパーティーモードや、自由にマップを作成できるクリエイティブモードなど、そのあり方はメタバースへと近づいている。Nintendo Switchからもアクセスできる「手軽なメタバース」を生み出そうとしている著名なゲーム企業が、この先どのようにメタバース業界へと切り込むかは注目だ。

 国内に目を向けると、バンダイナムコエンターテインメントがスタートアップ投資ファンド「Bandai Namco Entertainment 021 Fund」を設立した。新年度より「IPメタバース」というビジョンを明らかにし、その第一弾として「ガンダムメタバースプロジェクト」も発表した同社が、ブロックチェーン、xR、AI、メタバース、Web3.0などに注力するスタートアップへ年間10億円を出資するファンドだ。数多くのIPを保有するビッグネームは、様々なスタートアップとともにメタバースを作り出す道を進み始めている。

 SBIホールディングスが主導する「日本デジタル空間経済連盟」の設立も見逃せない。デジタル空間の活性化と政策提言を目的とした経済団体であり、電通グループ、凸版印刷、日本マイクロソフト、野村ホールディングスといった、著名な企業が参画を発表している。どちらかといえばメタバース運営サイドではない企業が多めな点と、大きな物議を醸した日本メタバース協会も賛助会員に名を連ねている点は気がかりではあるが、昨今の流れを汲み、本質的なメタバースの社会実装が加速することを願いたい。

 Meta社のメタバース「Horizon Worlds」では、クリエイターの収益化プログラムのテストが始まった。一部のクリエイターに、アイテムやエフェクトの販売機能が解禁されたほか、「クリエイターの設定目標に対する進捗」に応じたボーナスを支給するプログラムも開始されたとのことだ。ただし、実に収益の47.5%がMetaへ手数料として持っていかれる点は、賛否両論となっている。より大きな手数料を徴収するプラットフォームも存在するため、Metaがとりわけ法外というわけでもないのだが、「料金の高さがイノベーションを阻害する」とマーク・ザッカーバーグがかつて語った思想と合致しない割合に、違和感を覚える人が出るのも無理からぬ話だろう。

 そんなMetaのVRヘッドセット『Meta Quest 2』の対抗馬を擁立しようと、中国のPico Interactiveが動いている。一体型VRヘッドセット「Pico Neo 3」の新シリーズ『Pico Neo 3 Link』を、ヨーロッパのコンシューマー向け市場展開とともに突如発表したのだ。公表されたスペックは『Meta Quest 2』と比肩し、DisplayPortケーブルによるPC接続にも対応しているため、ユースケース次第では『Meta Quest 2』を凌駕すると見込まれている。このほか、既存ラインナップ『Pico Neo 3 Pro』のハンドトラッキングデバイス同梱版も発表しており、ここにきて大きな動きを見せている。日本市場への進出にも期待したいところだ。

First Look and Tech Specs of the ThinkReality A3 Glasses

 ARの領域では、レノボからスマートグラス『ThinkReality A3』が発売された。現場作業支援に加えて、リモートワーク向けのバーチャルディスプレイ表示といったユースケースも想定された、法人向けデバイスとなる。筆者は別所にて体験したが、軽量かつフィット感が心地よく、普通のサングラスのように装着できるハードルの低いデバイスだ。まだまだ発展の余地こそあるものの、スマートグラスの発展は一気に進んでいる印象だ。

 VRとARの話題はいまや各所で耳にするようになった。VRに至っては、いまや家電量販店でもVRヘッドセットを購入できるようになった。その基盤を生み出した立役者として、Oculusの名は欠かすことができないだろう。2022年4月15日は、Oculusが生まれて10年目の節目になる。

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