『今日好き』シリーズの“告白成功率”を徹底分析 カップルが成立しやすい要因は?
ちなみに参考程度に、2021年度における男女別の告白成功率も算出してみた(※2:算出に際する要件定義は本稿最下部にも記載)。あくまでもメンバー全員が告白に掛ける想いやそこでの言葉に男女間の優劣がないことは強調しておきたいが、結果は男子の告白成功率:45.7%、被告白成功率:47.0%、女子の告白成功率:23.8%、被告白成功率:30.0%となった。告白する/されるどちらの場合でも、カップルとして結ばれる確率は、男子の方が高いようである。
これはよくよく考えると当たり前なこと。『今日好き』では男子に比べて、旅の参加総人数に対する女子の比率が大きいことがほとんど。気になる相手がライバルとバッティングする可能性も、女子の方が必然的に膨らんでくるからだ。2021年度において、参加メンバーの男女比が同一だったのは『向日葵編』、男子が女子の人数を上回ったのは『蜜柑編』『卒業編2022』のみだった。ここまで読めば、読者の皆さまにも納得をしてもらえるだろう。
ところで『卒業編2022』において、恋愛見守り人の井上裕介(NON STYLE)が、メンバー全員が“イルミネーションくじ”で告白決めをする際、“ヤバいヤバい!”とまるでこのイベントが初めてかのような歓声を上げてはしゃぐ様子を観て「慣れたやろもう! 何回もやってんねんから」とツッコミを入れる場面が印象的だった。
たしかに、あやの(増田彩乃)やキサラ(松村キサラ)ら継続メンバーにはもう慣れっこだろう。おおむねのルールは、男女それぞれ(あるいはメンバー全員)がボタンを押して、赤く光った方が最終告白をするというシンプルなもの。それでもやはり、現場で感じるドキドキ感は常に“初めての感覚”を与えてくるのだと思われる。とはいえ、このイルミネーションくじも思えばいつから定番化したものだったか。
正解は、2021年度春放送の『春桜編』から。ただ、同じイルミネーションくじでも、砂浜に10個前後の円を並べて、そのなかに立ったメンバーを灯したり、ある時はハウステンボスにある洋館一面に掛けられたスクリーンに映像を投影したり。こうした大掛かりなものまで、その都度で規模感やギミックは異なってくる。
また、2021年秋放送の『朝顔編』では、従来の告白決めの役割に留まらず、旅の流れを大きく左右した場面も。同シーズンでは、メンバー全員が総当たりで“イルミネーション迷路”に挑戦。1位を獲得したメンバーには、翌日に気になる相手と2ショットをできる権利が与えられたのだが……同時に、1位のメンバーが男子=最終告白は男子側から行なうことが決定するなど、メンバーによっては軽いジレンマを覚えそうな、巧妙な仕組みを採用していたのも見事だった。
男女間での最終告白回数のギャップに話を戻すと、『第11弾』では男女問わず、“花くじ”で当たりを引き当てたメンバーが、男女問わず誰であっても告白をし、続く『第12弾』でも何名かのメンバーのみが2日目昼時点など、旅の最終日を待たずに告白をしなければならない特別ルールを追加するなど、これまで様々な趣向が凝らされてきた。番組をさらに面白いものにしようと試行錯誤する熱意を読み取るのも難しくはないだろう。
そのうえでやはり、2019年度の『今日好き』の爆発力は桁違いだった。この時期は前述のような男女どちらが最終告白をするか、ひいては旅の途中過程にも、ある程度の制約があった。が、2020年には愛娘が誕生し、現在はカップル、そして夫婦という関係性になった、しゅん(前田俊)とまや(重川茉弥)の“しゅんまや”カップルが運命的に結ばれた『ハワイ編』。かれん(石川翔鈴)、まる(向葵まる)、『egg』モデルとして知られるゆずは(雨宮由乙花)など、いまなお多方面で活躍中のメンバーが参加した『グアム編』。番組を語る上で欠かせない数々のスターを輩出したのは、なんといってもこの時代の『今日好き』なのだ。
同時期には番組リニューアルとして、旅の舞台も国内から、海外という“異国”を舞台にすることを大々的に銘打った(それまでにも海外を舞台にしたシーズンは存在していたが)。夢のようなロケーションは、高校生でなくとも憧れる訴求力を持ち、『今日好き』はその人気を不動のものに。だからこそもし、2020年度以降に現在のような情勢になっていなかったならば……。断じて番組自体の人気が下がったわけではないのだが、想像もできぬ金字塔を打ち立てていたのではないかと、思わず“たられば”さえ語りたくなってしまう。
しかしながら、2020年度以降の『今日好き』では、メンバー自身がますますのびのびと活躍しているように思う。それは告白決めのみならず、旅の最中で出会う様々な選択を、メンバー自身に委ねるようになったからだ。きっと、旅への参加意識や、そこでの主体性も上がっていることだろう。そうした真剣な想いが、告白の言葉からも伝わってくるはずだ。
実際、2021年度の告白ハイライトとして、『蜜柑編』ではまやと(中里真哉斗)とゆあ(上ノ堀結愛)の“ゆあまや”カップル、たいよう(白間太陽)とるる(実熊瑠琉)の“るるたい”カップルが告白成功後に真冬の海に派手にダイブするなど、なんと2組もの心にグッとくる名シーンが誕生した。その直前の『花梨編』では、前年度の『夏空編』のふうた(酒寄楓太)による告白を思い出させるような、目下のカップル成立か否かの問題から視野を広げて、次の旅に参加して最終的な結論を出す“第3の選択肢”を提示するのも驚きだった。
最終告白直前の時間の過ごし方でいうと、初夏に放送された『鈴蘭編』においては、まり(新塘真理)が後にカップルとして成立する男子と最後の思い出作りに。彼と約束していたフェイスペイントを楽しむなかで、お互いに至近距離で顔を寄せて見つめあうなど、静かなイチャイチャを披露していた。これほどの親密度と安心感なのだから、カップル成立は間違いない。当時の視聴者は誰もがそう確信していたことだろう。
前段の通り、恋愛における告白という行為は、一般的にお互いの好意の確認だと言われている。つまり、告白前にはもう結果が決まっているのだ。それでも、ある種のスリルとも言い換えられるドキドキ感を胸に、意中の相手に想いのすべてをぶつけて、2泊3日終了時点でのお互いの関係性の終着駅を見つけようとする瞬間こそ、『今日好き』最大の見どころである。はたして来年度は、どんな告白シーンを目撃できるのだろうか。これまで以上にもっともっと驚き、そしてキュンとさせられるような展開を観てみたくてたまらない。
※1:全42シーズン 男女別 最終告白回数 集計時の要件定義
・集計対象は『もう一度好きになってもいいですか?』などのスピンオフ企画を除く、本稿執筆時点で放送終了しているメインパート全42シーズンとする
・集計対象は最終告白のみ。最終告白以前に行なわれた告白については、ルールの範疇か否かに問わず、今回のカウント対象外とする
・カウント方法は、男女どちらか片方が告白した場合を1、双方が告白した場合を0.5と数える。1シーズンにおける参加メンバー数は一切考慮しない
※2:2021年度 男女別 最終告白成功率 算出時の要件定義
・集計対象は『もう一度好きになってもいいですか?』などのスピンオフ企画を除く、2021年度放送のメインパート全9シーズンとする
・集計対象は旅の全期間。“ルール違反”の告白などを含めて、番組内での全イベントを対象に含む
・集計対象の人数には、告白をしなかった“リタイア”メンバーもカウントする