振り返れば色々な“初めて”があったーー25年を迎えた破壊を極めし名作3Dアクション『ブラストドーザー』

25年を迎えた名作3Dアクション『ブラストドーザー』

実は海外版は2015年に復刻済み。日本版もいつかは……?

 ネタに関しては、ゲーム本編にも色々とある。

 たとえば、牛小屋に体当たりすると窓に牛が出現したり、タイムアタックステージで流れる音楽は1995年にゲームボーイで発売された『スーパードンキーコングGB』のボス戦の楽曲のアレンジ版だったり、メカから主人公を降ろし、そのまま海に突っ込むとミスになってしまう(カナヅチであることが発覚する)……などなど。

 また、トレーラーに積載されているものが日本版と海外版とで決定的に異なるというのもある。その詳細に関しては、海外版に積載されているものが物騒極まりない都合により、言及は控える。

 なお、日本版も発売直前の情報では、その“物騒なもの”を積んだという設定になることが1996年夏頃、店頭で配布されたNINTENDO64の新作を紹介するパンフレットに記載されていた。最終的に日本版は衝撃を加えると大爆発を起こす特殊な化学物質に変更された訳だが、元の物騒さを思えば無難な落としどころ……だったのだろうか。

 色々な話題を持ち合わせた本作『ブラストドーザー』だが、2022年現在はXbox One用タイトル『レア リプレイ』にて遊べる。

 現行機に合わせた高解像度化、フレームレートの向上といった改良が施され、遊びやすくなっているのだが、海外版のため日本語には未対応。任天堂が深く関与している日本版は今なお、復刻の機会に恵まれていない。

『レア リプレイ』収録版。映像周りが鮮明になっている。
『レア リプレイ』収録版。映像周りが鮮明になっている。

 だが、その機運は『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』にて「バンジョー&カズーイ」が参戦……という名の帰還を果たして以降、にわかに高まりつつある。実際にNintendo Switchで配信されている『NINTENDO 64 Nintendo Switch Online』では、『バンジョーとカズーイの大冒険』が復刻を果たした。版権がレア社とマイクロソフトの管理下にある同作のオリジナル版が、Nintendo Switchにて遊べるようになった訳である。

 このような例が出てきたとなれば、『ブラストドーザー』を始めとするNINTENDO64にてレア社が開発を手掛けたタイトルの復刻もある、と自然に期待してしまうものだろう。とは言え、『ゴールデンアイ 007』と『ミッキーのレーシングチャレンジUSA』の2タイトルはそれぞれ原作の版権も絡んでくることから、例外的に復刻は困難と思われるが。

 また、懸念もある、前述にて言及したが、本作は周辺機器『コントローラパック』の使用が推奨されている。使うことにより、セーブファイルが4つ作成できるほか、メインステージにおける建物の破壊率などが詳細に記録されたり、ミニステージのタイムランキング機能が解禁されたりするのだが、逆に未使用だと作成できるセーブファイルが1つになるほか、残る破壊率の詳細な記録なども不可能になる制約を受けてしまう。

 『NINTENDO64 Nintendo Switch Online』では、この『コントローラパック』の再現が行われておらず、一部のタイトルはそれに関連付いた機能が使えなくなってしまっている。とりわけ影響が大きいのはコーエーテクモゲームス開発の『WIN BACK(ウィンバック)』で、ゲーム側でのセーブが一切できないという弊害を受けている。

 一応、ソフト内蔵の「どこでもセーブ」機能で代用できるため、致命的な程度には至っていないが、使った際の恩恵が得られないのはやや厳しいものがある。

 2022年現在も、同ソフトにはコントローラパックをストレージ上に仮想再現するオプション(※PlayStation 3の「仮想メモリーカード」のような機能)が備わる兆候は見られず、仮に復刻してもセーブは忠実に再現されないと思われる。

 とは言え、前述の『レア リプレイ』版ではコントローラパックを使った際の仕様が完全再現されているという実態もある。それを思うと、配信の暁には機能の実装が行われたりしないものかと期待してしまう。

 レア社のNINTENDO64タイトルについては『バンジョーとカズーイの大冒険』以外、復刻に関する目立った動きはない。題材がやや過激なことから、復刻に二の足を踏んでしまう可能性もあり得るが、ゲーム自体の独自性は25年の年月が過ぎ去った今も色あせていない。やり込もうとすると一向に終わらない沼にハマってしまう恐ろしさ、プラチナメダルの常軌を逸した高難易度もまた然りだ。

 色々な懸念は残るが、本作が何らかの形で陽の目を見ることを願ってやまない。もちろん、他のレア社製NINTENDO64タイトルも同様、今のゲーム機で遊べるようになる未来の到来を待ち望むばかりである。

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