振り返れば色々な“初めて”があったーー25年を迎えた破壊を極めし名作3Dアクション『ブラストドーザー』

25年を迎えた名作3Dアクション『ブラストドーザー』

いまになって振り返れば、いろいろな“初めて”があった

 ところで、何度か繰り返した通り、本作はレア社にとって初めてのNINTENDO64タイトルである。だが、改めて振り返ってみると、本作にはそれ以外にも様々な“初めて”が存在した。象徴的なものとしては以下の3点になるだろう。

初めて「64」を冠しなかった新作

 NINTENDO64のタイトル、とりわけ任天堂の新作には決まって「64」の名が冠されるのがある種のお約束のようになっていた。

 本体と同時発売された『スーパーマリオ64』と『パイロットウィングス64』、その約3ヶ月後に発売された『ウエーブレース64』、そしてNINTENDO64屈指のヒット作『マリオカート64』。どれもこれも「64」の名を冠している。

 そんな4作の次に発売された本作は「64」の名を冠していない。その意味でもまさに(任天堂にとっては)“初めて”の新作になった。なお、本作は海外でも発売されているが、そちらも『Blast Corps』と「64」は冠していない。

 そして、本作を機に任天堂の新作は「64」を冠しなくなった……訳でもなく、1ヶ月後に発売された『スターフォックス64』では再び冠されている。

 だが、その後は『スター・ウォーズ 帝国の影』、『ゴールデンアイ 007』、『ディディーコングレーシング』といった「64」を冠さないタイトルが続出。『ヨッシーストーリー』に『F-ZERO X』など、発表された当初は64を冠していた新作も冠しないタイトルへの改題が行われるなりして、急速にその流れは拡大していった。

 結局、『スターフォックス64』以降に出た「64」を冠した任天堂の新作は1999年発売の『マリオゴルフ64』。実に2年近くも先のことで、1998年に至っては1本も「64」を冠したタイトルが任天堂からは出なかった。ちなみに1999年には他にも『オウガバトル64』のほか、同じレア社開発の『ドンキーコング64』が発売されている。

初めて6,800円(税別)で発売された新作

 前述の『スーパーマリオ64』を始めとする1996年発売の新作4本は、定価9,800円(税別)で販売。ROMカートリッジという媒体の特性から高価になり、PlayStation、セガサターンなどのディスクメディアを採用した次世代機との如実な差が表れていた。

 しかしながら、1997年3月14日からNINTENDO64本体の価格が25,000円(税別)から16,800円(税別)へと値下げ(当時の報道)。並行してゲームタイトルの価格にも値下げが図られ、本作『ブラストドーザー』は6,800円(税別)に。

 以降も同程度の価格の新作が任天堂から発売されるようになるのだが、その第1号にして“初めて”の新作はこの『ブラストドーザー』だった。

 この低価格を強調したい意図があったのだろうか、本作のテレビコマーシャルでは、締め括りのタイトルコールの後、価格も言及されるという少し珍しいスタイルが採られていた。それもあって、このコマーシャルを覚えている世代には「6,800円!」という力強いナレーションを記憶している人がいるかもしれない。

 それよりも「めっちゃめちゃにして……」や「決め手は高度なテクニック」といった、出演女優の色っぽさ全開の台詞が印象に残っている人の方が多い可能性もあるが。

 なお、発売当時の消費税率は3%(※5%になる直前だった)。ゆえに実際の価格は7,004円である……という、無粋な補足も付け加えておこう。

 また、発売から約1年半後にはさらなる値下げが行われ、4,800円(税別)になっている。(2022年現在も健在の任天堂公式サイトにも、この新価格が記されている。)

初めて「ファミコンポジション」を(部分的に)採用した新作

 NINTENDO64のコントローラには3つの持ち方、「ライトポジション」「レフトポジション」「ファミコンポジション」があった。

 特に多かったのは「ライトポジション」、右グリップを右手で握り、左手の親指で「3D(サンディ)スティック」を操作するスタイルである。前述の『スーパーマリオ64』を始めとする新作4作は、全てこの「ライトポジション」による操作を前提にしていた。

 『ブラストドーザー』も「ライトポジション」前提なのだが、実は「ファミコンポジション」……左グリップを左手で握り、右グリップを右手で握るという「3Dスティック」を使わないスタイルにも対応している。

 その意味では部分的ながら“初めて”採用したタイトルでもある。

 厳密には車両タイプ(クルマタイプ)のメカが「ファミコンポジション」の操作に対応。逆に「ロボットタイプ」のメカは非対応で、「ライトポジション」専用になっている。

 また、本作はメカを乗り換える際に操縦主の主人公を降車させる必要があり、それを実施するボタンがZトリガーボタンに当てられている。ゆえに「ファミコンポジション」だと、該当ボタンが押しにくくなる弊害がある。

 それもあってか、本作の説明書にも「ファミコンポジション」で操作するに当たっては「ただしZトリガーボタンに指が届くならな!」(※6ページより引用、原文ママ)と、だいぶ勢いのある言い回しで注意書きが書かれていたりする。

 そんな敬体で記述されていない説明書、周辺機器「コントローラパック」によるセーブが推奨される仕様(※ROM単体だとセーブ機能周りにいろいろな制約が生じる)もある意味、“初めて”の一例となっている。

 レア社のNINTENDO64デビュー作という一面がある本作だが、さらに掘り下げてみるとこのようなネタも出てくる。もしかしたら、ここまでにピックアップしたもの以外にも隠された“初めて”があるかもしれない。

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