動画配信サービスに求められているコンテンツとは? ABEMA年間ランキングから分析
「コメント数ランキング」は10代の視聴の特徴を表す
Twitterアカウントと連携させてコメントを投稿することで、視聴者が番組放送中にリアルタイムで発信した感情が共有できるのもABEMAの特徴。
年間のコメント数ランキングでは、1位に生中継で行われ世界中が注目し、放送時には世界トレンド1位を獲得した『Girls Planet 999 : 少女祭典』の最終回がランクイン。続く2位は『今日、好きになりました。卒業編2021』の最終回、3位には『今日、好きになりました。春桜編』の最終回という結果になった。
この3つの番組に共通するのは「最終回」というキーワードだ。
『Girls Planet 999 : 少女祭典』では言わずもがな、誰が最終的にデビューできるのか、自分の応援しているアイドルが選ばれるのか、視聴者はその結果いち早くを求めている。その現象が『今日好き』シリーズにも起きているのは興味深い。
『今日好き』シリーズでは最終回に告白を行い、カップルが成立する。応援しているメンバーや成立してほしいペアを見守り、視聴者はリアルタイムで感想を共有し合う。このスタイルは『オオカミ』シリーズでも同様だが視聴者数が多い『オオカミ』に対し『今日好き』の方がリアルタイム性があったという結果は、おそらく視聴者の年齢層が関係するのだろう。
『オオカミ』が10代、20代から支持を受けているのに対し、『今日好き』は圧倒的に10代の割合が多い。10代は20代よりもSNSに身近でコミュニケーションのやりとりが活発であることはもちろんだが、配信コンテンツという時間に囚われない視聴方法が選択できるなか、地上波番組のようなリアルタイム性を求めているのは特筆すべき点だ。「好きな時に好きな場所で好きなものを楽しむ」ことが当たり前となっているはずの10代が、同時視聴と使い分けながらコンテンツを視聴していることは興味深い結果となった。
ABEMAから見る、今後動画配信サービスへ求められるもの
男性の視聴ランキングを見ると、野球や竜王戦といったスポーツや将棋、世代別のランキングにはアニメ作品のほか、ABEMAの長寿番組『給与明細』『チャンスの時間』といったバラエティ番組もランクインしている。リアルタイムで楽しむ人が多いスポーツ系や将棋番組などと、いつ、どのタイミングで観ても楽しめるアニメ・バラエティが満遍なく楽しまれているようだ。
さらに年間総合ランキングを見るとベスト10のうち『呪術廻戦』と『東京リベンジャーズ』以外は、テレビ放送では見ることができないABEMAオリジナルコンテンツなのも特徴的。その内訳が恋愛番組、バラエティ、スポーツとさまざまであることや、「年間ニュース視聴ランキング」では、独自の視点で時事問題を取り上げていることも見受けられる。
多くの動画配信サービスが凌ぎを削る現代。独占配信やオリジナルコンテンツで差別化を図ることが必要となるなか、ランキングを見るとABEMAはオリジナルコンテンツで支持を得ていることがわかる。「ABEMAでしか」観られないコンテンツを保有していること、そのコンテンツが多くの視聴者の興味を惹きつけるものであることに成功していると言える。
今後どの配信サービスでも増え続けていくであろうオリジナルコンテンツ。SNSなどで話題となり、サービスの登録者数を増やすためにはオリジナル作品で評価を得るものを作れるかが鍵となっていくだろう。2022年もどんな新たな作品が生まれるのか、期待して待ちたい。
(Source)
https://abematv.co.jp/posts/27407335