千鳥『チャンスの時間』などの仕掛け人・ABEMA宮本博行が語る「人にフォーカスを当てる」バラエティ番組のつくり方

ABEMAバラエティ・宮本Pインタビュー

かまいたち、ニューヨーク、見取り図……それぞれの個性の見分け方

--番組を作る時に意識している宮本さんらしさというのは。

宮本:バラエティに関しては、放送初回からドーンと跳ねるのが難しかったりするんですね。なので、視聴者に「こういう番組なんですよ」と分かってもらうための入り口をはっきりさせるようにしています。実際にいまやっている3番組も、テーマが明確になっているんですよね。かまいたちの『ぜにいたち』(ABEMA)は“お金”、ニューヨークの『ニューヨーク恋愛市場』(ABEMA)は“恋愛”、見取り図の『見取り図エール』(ABEMA)は“青春”というように。

--「かまいたち×お金」「ニューヨーク×恋愛」「見取り図×青春」という組み合わせは、どのように決められたのですか?

宮本:彼らが活動している媒体を見た上で、決めました。地上波にもすごく出ている方々なので、既存のものとは被らないようにしつつ。ニューヨークに関しては、「芸能人と付き合いたい!」とか言っているじゃないですか。だから、恋愛というテーマが合うのでは? と思って。見取り図は、これから“お笑い青春”を駆け抜けていくイメージがあったんですよね。

--ニューヨークさんに関しては、『シャッフルアイランド』(ABEMA)や、『こんな美人をフルなんて』(ABEMA)など、ABEMAの恋愛番組でもMCをされていましたよね。

宮本:そうですね。2人とも独身というのもあって、昔のロンドンブーツと近い雰囲気を感じたりするんです。スタイリッシュさもあり、ちょっぴりヤンチャな部分もあり。

--ABEMAの番組は、中堅芸人さんの活かし方も上手いイメージです。

宮本:芸人さんって、色々なタイプの方がいらっしゃると思うんですよね。40代になって味がでて、時代にマッチする人もいる。それこそ錦鯉なんて、50代で『M-1グランプリ2021』(テレビ朝日系)優勝していますし。20代の芸人が同じネタをやって、面白いか? と問われると、分からないですよね。年齢問わず、これから面白くなりそうな人材は常に探しています。錦鯉も、早い段階で『チャンスの時間』に出演してもらっていましたし、ぺこぱとかも出ていたので。新しい人材の発掘というのは、ひとつのテーマでもありますね。

--そういった人材は、どういう部分で見極めているのでしょうか。

宮本:ネタが面白いというのはありつつ、人としての面白さを感じる瞬間がある方。しっかり作り上げたものが面白いと感じる人もいるのでしょうが、やはり、いまの時代は人としての面白さが大事かな。それは別に、破天荒な人生を歩んできた……というわけではなく。普通に学校を卒業して、お笑いが好きで芸人を目指した人でも、人としての面白さはどこかにあると思うので。

--いま、宮本さんが注目している芸人さんはいらっしゃいますか?

宮本:もう世に出てしまいましたが、空気階段とは何かやってみたいなと思っていますね。ラジオとかも、人間臭さがあってすごく面白いので。

--ラジオもよく聴かれるのですか?

宮本:兄の影響で、小学校の時からラジオが好きだったんですよね。ハガキもたまに送ってたりして。よく、『Come on FUNKY Lips!』(文化放送)聴いてたなぁ。最近のだと、『バナナマンのバナナムーンGOLD』(TBSラジオ)、『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)、『空気階段の踊り場』(TBSラジオ)、『おぎやはぎのメガネびいき』(TBSラジオ)、『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』(JFN系)の5本は絶対に聴いていますね。

--そのほかに、いち視聴者として面白いと感じるメディアはありますか?

宮本:テレビ、ラジオ、ABEMA以外の動画配信サービス……基本的になんでも観ますね。バラエティ番組が多いですけど。観る側からすれば、選択肢が増えててありがたい時代になりました。作り手としては、話題が分散してしまうので苦しいところではありますが……。そう言えば最近、YouTubeで外国の方が日本食を食べているのを観るのが好きなんですよね。

--それは、どこに面白さを……?

宮本:多分、『バナナTV』で海外に行ったりしていたのもあって、海外に興味があったんでしょうね(笑)。ガハハと笑うわけではなく、「上手に食べるな〜」と思いながら観るのが楽しいんです。あとは……相変わらずバナナマンは好きですね。彼らが出ているものは、だいたい観ています。

--ほかの媒体を観ている時に、職業病が出たりすることも?

宮本:ありますね。「その手があったか!」と思ったり。最近では、『水曜日のダウンタウン』を観て思いました。あの企画は、ネットでやってても観てしまうだろうし。バランスがいい番組なんですよね。

--では、最後に。2022年以降の構想を教えてください。

宮本:バナナマンと一緒に、面白いものを作ってみたい。これは、常に思っていますね。もう3年くらい前になりますが、『設楽統の妄想ドキュメンタリー』はやっていて楽しかった。いま考えると反省点もありますけど、もう1回やりたいと思っています。あとは、空気階段のように勢いのある若手が活きる番組を作れたら。そして、自分のなかでバラエティの正解を出したい。「これだ!」と思える作品を作りたいです。配信で当たっているバラエティって少ないと思うので。そういった番組を作っていけたら。YouTubeでもない、テレビでもない、ABEMAならではの“何か”が見つかるといいなと思っています。

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