『Weekly Virtual News』(2021年12月20日号)
新人もベテランも、VTuberは師走を駆け抜けていく
ニューカマーのみならず、黎明期より活動してきたVTuberの躍進も増えている。12月14日には春日部つくしが、埼玉バーチャル観光大使に正式に任命された。2018年2月にデビューし、活動初期から積み上げてきた埼玉県の魅力を発信する活動が、ついに結実した形だ。12月16日にはさっそく、ちょこたび埼玉公式チャンネルにてPR配信を実施。任期となる来年の3月31日まで、初代・埼玉バーチャル観光大使としてその活躍が期待される。
おめでたい話も昨今は増えつつある。12月16日には、黎明期より活動する一人、あくまのゴートが結婚を報告した。その体裁は、「あくまのゴートの世を忍ぶ仮の姿が結婚し、結婚祝いとして家庭用ロボットを一台購入した」というもの。その家庭用ロボットとは、同じくVTuberの家庭用ロボットアイゼンを指す。つまり……そういうことである。
似たような例として、12月10日に結婚を報告した届木ウカが挙げられる。こちらは、パートナーはVR空間上では少女のアバターであり、届木ウカ本人は性別不明であるため、「VR上では届木ウカが夫、パートナーは妻」という解釈を発表している。基底現実ではこの限りではないかもしれないが、バーチャルではそうした間柄でもよいのである。
VTuberは多様なあり方を許容するカルチャーである。業界最前線に立つホロライブ6期生を見ても、ラプラス・ダークネスは「地球を侵略しにきた5000歳を超えるラプラスの魔」というプロフィールの持ち主だ。基底現実から少しだけあり方の異なる個人が、着実に現実で活動し、生きている。その活躍が、現実をちょっとずつ楽しい方向へと導いている。