FUNKY MONKEY BΛBY'Sが語る、“教会ライブ”だからこそ歌えた歌と届けられたメッセージ

 昨年は3夜連続で開催、中島美嘉with藤巻亮太、Little Glee Monster、純烈が、クリスマスらしい華やかなステージを届けた『TikTok Xmas Music LIVE』。今年は、12月23日にFUNKY MONKEY BΛBY'S、12月25日にAIのライブを配信中だ。

 23日のライブでは、今年8年ぶりに復活を遂げたFUNKY MONKEY BΛBY'Sが、厳かな雰囲気の教会でライブパフォーマンスを披露した。リアルサウンド テックでは、ライブを終えた2人に、当日の様子やライブを終えての心境、そしてまだ勉強中と言うTikTokについて話を聞いた。(榑林史章)

ファン投票1位「告白」、唯一のクリスマスソングを披露

ーーすごくきれいな教会でパフォーマンスされて、いかがでしたか?

ファンキー加藤(以下、加藤):教会でライブをすると聞いてはいましたけど、自分が想像していたものより何倍も立派で美しい教会で、両サイドにキリストや宗教画が描かれていたりして。会場を観た時はすごく驚きました。それに天井が高いので、天然のリバーブがかかって、すごく気持ちよく歌えましたね。

モン吉:すごくゴージャスな教会で、ああいった場所でパフォーマンスする機会は滅多にないことなので、すごく感激しました。よりクリスマス気分に浸って歌うことができましたね。

ーーそもそも「TikTok Xmas Music LIVE」に出演しようと思った、決め手になったものは何ですか?

加藤:昨年から歌を歌う機会が激減してしまって、いまだ収束し切れていないなかで、こういったステージに声をかけていただけたことは、本当にありがたいことだと思いました。ここ2年は「歌いたい」という願望がとても強いので、ぜひ出たいと、そう思いましたね。

モン吉:求められているなら、どんなライブにも出たいと思っています。この2年、エンタメ業界は9割5分仕事がなくなっちゃったので、歌える場所を与えてもらえるだけで幸せです。

加藤:そういう意味でも、TikTokさんにすごく感謝しています。

ーーこのライブは、オープニングで歌ってほしい曲をファンの方が投票して、1位になった曲を歌いましたが、2008年にリリースされたシングルの表題曲「告白」でした。

加藤:「告白」でライブが始まったのは、初めてだったと思います。だいたいファンモンは、最初から2~3曲目くらいまではアップテンポをやることが多いので、「告白」で始まったのは、僕自身も新鮮で面白かったですね。教会の雰囲気ともマッチしていて、いい響き方をしたんじゃないかなと思います。

モン吉:初めてだったし、不思議な感じでスタートしたんですけど、やっぱりクリスマスなのでラブソングがハマるなと思いました。好きな人がいたら、その人に気持ちを伝えるきっかけになっていたらいいなと思って歌いました

ーー1曲目でいきなり告白しちゃうんですか?

モン吉:返事はライブ終了後に取っておいてもらって、ハラハラ感と共にライブを楽しんでもらうという。今頃は、きっともう返事をもらっていると思うんですけど。

加藤:クリスマスに一緒にライブを観ている時点で、ほとんど返事はOKなんじゃない(笑)?

ーーお二人として意外な1位だったということですね。

モン吉:すごく意外でしたね。

加藤:「あとひとつ」や「ちっぽけな勇気」など、定番の曲も多かったんですけど、やっぱりラブソングが多かったです。クリスマスということに加えて、もしかしたらTikTokを観ている層だからこそ、「告白」の人気が高かったかもしれないです。

モン吉:そうだね。TikTokで流行る曲は、恋愛ものが中心だと聞きますから。

ーー今回は10曲パフォーマンスされて、お二人的にハイライトだったなと思う部分や、構成に対して考えたことを教えてください。

モン吉:「ぼくはサンタクロース」という、このタイミングじゃなきゃ歌えない曲を歌いました。ファンモン唯一のクリスマスソングで、これは目玉だったんじゃないかな。

加藤:2007年のシングル「もう君がいない」のカップリング曲で、ファンモンとして歌ったのは、10年ぶりくらいかもしれないです。ファンモンにしては珍しくフィクションの歌詞になっていて、映画みたいな世界観があると言うか。それもあってか、ライブでは数えるほどしか歌っていないんですけど、昔から応援してくれているファンの方の人気がすごく高い曲なんです。今回も「クリスマスライブだからもちろんあれも歌うよ!」ってつぶやいたら、レスが一気に増えたほどです。あとは、教会という神聖な場所で、「今だってI LOVE YOU」というゴリゴリのヒップホップを歌ったのも、ミスマッチ感が良かったと思いますね。自分たちは基本的に、ラップを取り入れたポップスだと思っているんですけど、復活したモードとしては、前よりヒップホップ寄りの曲を歌っても違和感がないよね。

モン吉:そうだね。

加藤:教会で二人で韻を踏んだのも、すごく楽しかったです。もともと俺らは、二人で小さなクラブから始まって、いろんなところで歌わせていただいてきましたけど、いよいよラップを教会で歌う日が来たかと思って、結構気持ちがアガりました。

音楽にはまだまだすごいパワーがある

ーー最新楽曲「エール」も披露しました。「エール」は孤独や悲しみを感じている人に寄り添ったり背中を押してくれる曲で、一人でTikTokを観て寂しさを紛らわせているような人にも、ぴったりな曲だなと思いました。今回「エール」を歌うにあたって込めた、特別な思いはありましたか?

加藤:僕たち自身もコロナ禍での再始動という、なかなか逆風が強い状況での新たな旅立ちで、「エール」を作っている最中も連日ニュースでコロナのことが報道されていました。本当に気が滅入っちゃうくらい、閉塞感があったし。いまは、曲を作ったり歌詞を書くという時に、コロナのことはどうしても切り離せなくなっていて、日常の中にすごく入り込んで来てしまっている。だから歌詞を書いた時は、そういうバランスみたいなところですごく苦労した覚えがあります。

ーーどういうバランスですか?

加藤:「頑張れよ」というワードを入れるべきかどうか、すごく悩んだんです。結果的に入れたんですけど、「頑張れよ」という言葉を入れるために、すごく前後のバランスを取らなきゃいけなくて。みんなただでさえ頑張っているのに、そこへさらに「頑張れよ」と言っていいものなのかと。最終的にそれは、自分自身に向けるということで決着が付いたんですけど、すごく微調整しながら、万人に届くような楽曲にしたいなという気持ちでした。

ーー「頑張れよ」と言われることで、重荷を感じてしまう人もいるという。

加藤:そうなんです。でもそれは、コロナ禍になる前からずっと言われて来ていることですけど、今まで以上に配慮して書かなきゃいけない時代なんだと思いました。

ーーファンモンと言えば応援歌の代名詞でしたが、応援する気持ちは変わらず、応援の仕方が変わって来ているということですね。

加藤:はい、歌詞に〈今日も自分なりの空を見上げていけばいい〉というワードが出て来るんですけど、それは今の多様性を認め合う世の中に対して言っている言葉で、すごくいいフレーズが生まれたなって思います。

ーーモン吉さんは、「エール」という曲で、聴いた人にどんなことを伝えたかったですか?

モン吉:今は「頑張れ」と言ってもストレートに響く時代ではないけど、とは言えコロナ禍で。コロナ前に作っていたら言葉のチョイスも変わったと思うけど、少なくとも俺の周りの音楽関係者や飲食関係者などみんなあおりを受けていて、頑張っていない人は一人もいないんですね。そういう人の力に、少しでもなれたらなって。恋愛でも勉強でも何でもいいんですけど、悩みを持った人が聴いてくれた時に、少しでも力になれたらなっていう気持ちでしたね。

ーーコロナ禍でお2人も大変な思いをしているわけで、でも自分たちのことよりも、ファンや聴いてくれる人のことを思うことができる。幼稚な感想ですけど、アーティストってやっぱりすごいなと改めて思います。

加藤:言霊というか、自分自身を鼓舞するという意味もありますからね。歌っていて、歌詞の言葉が自分自身に突き刺さることも結構あるんです。

モン吉:それに、おっしゃっていただいたことって、歌の本質じゃないかと思います。自分も歌で力をもらうことってあるじゃないですか。楽しい気持ちにもなるし、勇気をもらったり、ワクワクさせられたり。

加藤:コロナで音楽業界も大変ですけど、俺たち自身が音楽から生きる力や喜びを与えてもらっているのは間違いないですから、音楽にはまだまだすごいパワーがあるなっていう感じはあります。衰えていないと言うかね。

ーーコロナ禍という部分で、観た人にはどんなものを受け取ってもらえたら嬉しいと思っていましたか?

加藤:FUNKY MONKEY BΛBY'Sの楽曲は、すごくポジティブなものが多いので、皆さんそれぞれ大変なこともあった1年ですけど、ひとまずは「お疲れ様でした」「よく頑張ったね!」という思い、そして「また来年もお互い頑張っていきましょう」という気持ちを込めて、歌わせていただきました。それが伝わっていたら、嬉しいですね。

モン吉:クリスマスということで、観てくれる人がクリスマス気分をより高めてもらえたらいいなという気持ちで、ラブソングをいつもより多めに選曲しました。それと、こういう時期でまだまだみんな頑張っていると思うので、少しでもみんなの力になれたらいいなという気持です。その2つが、きっと伝わったんじゃないかなと思います。

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