往年の名作ゲームを楽しく魅せる、ホロライブ・戌神ころねの“唯一性”
ゲーム業界のクリエイターからの人気も高く、配信内で生まれたミームが海外で人気を博した『バンジョーとカズーイの大冒険』では、同作の音楽担当・グラント・カークホープが彼女の配信に言及。同じく配信からミームが生まれた『DOOM』シリーズでは、『DOOM Eternal』のDLC「The Ancient Gods – Part One」にて、開発者が隠し要素“イースターエッグ”として彼女のミーム「DOOG」を実装。また、『アクトレイザー』の実況配信時にも、同作や『イース』『ベア・ナックル』などの音楽を手掛ける古代祐三がSNSで反応。このやりとりは、古代氏に作曲を依頼した配信BGM「ころねレイザー 戌More!」(おそらく『アクトレイザー』のBGM「フィルモア」をもじった曲名)の制作にも繋がっている。
最近ではホラーゲーム『つぐのひ』シリーズの最新作として、彼女を大々的にフィーチャーしたタイトル「邪神ころね」が登場。普段のリスナーとの関係性をホラゲーに仕立てた斜め上の内容で人気を集めている。この『つぐのひ』については、以前に雑談枠で、「『つぐのひ』みたいなホラーゲームに出たい」と話していたことを覚えている人もいるかもしれない。
そしてもうひとつ、彼女の魅力となっているのは、予想の斜め上を行く独特のセンス。たとえば、2020年1月の正月衣装お披露目はその代表例と言えそうだ。この日ホロライブはお披露目配信リレーを行なっており、彼女も天女をイメージした衣装をお披露目。ここまでは普通のお披露目配信だったものの、続いて追加要素として頭に門松を被って登場し、門松の可動式の仕組みを嬉しそうに動かして不意を突かれた多くのリスナーが爆笑&困惑することになった。ちなみに、同年10月の誕生日にも誕生日ケーキを被っており、このケーキにも動く仕組みを搭載。うすた京介描き下ろしのグッズとともに彼女らしいと話題になった。
一方、アイドルとしての活動ではダンスの能力が高く、スラっと長い手足を綺麗に見せるのが非常に上手い。そのうえで、3Dライブや「歌ってみた」&「踊ってみた」の選曲は『Dr.スランプ アラレちゃん』のOPテーマ「ワイワイワールド」や「ボンバーキングのテーマ」、『スペースチャンネル5 VR あらかた★ダンシングショー』の「ダンス イン ザ ギャラクシー!(ver.Morolians)」など、彼女らしさを全開にしている。オリジナル曲「ころねの最凶天災☆わんだふぉー❤わーるど」も、8ビット音を効果的に使った彼女らしい楽曲だった。
また、同期の猫又おかゆとの名コンビ「おかころ」、おかころにFAMS(白上フブキ、百鬼あやめ、大神ミオ、大空スバル)を加えた「OKFAMS」、24時間企画なども行なった盟友さくらみことの「みっころね」など、ほかメンバーとの交流でも爆笑シーンを生んでいる。
彼女の活動を見ていて感じるのは、世の中のゲーム配信の流行り/廃りとは関係ない場所で、ただただマイペースに好きな配信を続けるような雰囲気。けれども、その様子がとにかく楽しそうだからこそ、彼女のレトロゲー配信は、美麗なグラフィックや高度な技術が使われた最新ゲームの実況と同じぐらい、新鮮さやワクワク、驚きを感じさせてくれる。のんびりと我が道をゆく唯一無二の存在感で、これからもホロライブを盛り上げてくれそうだ。