電子楽器が広げる音楽需要 誰でも楽しめる電子楽器を探る

電子楽器が広げる音楽需要

 緊急事態宣言が長く続き、再びおうち時間が中心の日々になってしまった。気がついたら夏が終わってしまった。今年の夏こそは新しいことにチャレンジしたい、と思っていたのに何もできなかった……という人も多いのではないだろうか。

 アウトドアな活動は難しいが、家でできる趣味はかなり幅広い。ジグゾーパズルのように安価で簡単に始められるものもあれば、初期投資が必要なものもある。なかでも楽器はかなり費用がかかるイメージが強い。楽器にもよるが、それなりのグレードのものを買おうとすると数十万円かかってしまうこともある。おまけに音が大きいため、家では音漏れが心配。趣味で始めたい、という気持ちがあっても少々怖気付いてしまう。

 そんな不安を払拭するのが電子楽器である。生楽器と比較するとかなり価格は抑えられる上に誰でも簡単に演奏できるようになるのが売りだ。さらにメンテナンスも楽、幅も取らない、家でも演奏できる。簡単、コンパクト、どこでもできる三拍子揃った電子楽器は、楽器を嗜みたいという方にぴったり。初心者からブランクがある経験者まで幅広い人が楽しめるだろう。

 いま最も手軽に楽しめる楽器といっても過言ではないのが「インスタコード」だろう。初心者がギターを始める際に最も壁となるのがコード。コード理論を理解するのは大きな負担なのだ。しかし、インスタコードは片手でボタンを押すことでコードを選択できる。もう片方の手はゴムパットを弾いたり叩いたりして、ギターのように音を出す。コードの種類や指使いを覚えなくても、すぐに弾き語りができるのだ。インスタコードを演奏するうちにコードが学べるのでギターにチャレンジするときもハードルが下がる。初心者にも一度楽器を挫折してしまった人にも最適だろう。

 簡単にできるのは弾く楽器だけではない。楽器に息を吹き込んでセンサーを反応させ、音程や音量を息遣いでコントロールする電子管楽器も存在する。中でも生楽器のように演奏できるのが「YAMAHA YDS-150」だ。発売当初から注文が殺到。生産が追いつかなくなり、一時販売停止となった人気商品だ。ビジュアルはもちろん、見た目も音色も運指もサックスさながら。マウスピース、リガチャー、リードは独立しており、本物のサックス同様の仕様となっている。

 楽器を新しく始めるのもハードルが高いが、再開するのもハードルが高い。しばらく吹いていない管楽器はまず、メンテナンスに時間がかかる。洗ったり修理に出したりすると、想定より費用も時間もかかってしまった、なんてことも多い。さらに課題になるのが技術の維持。学生時代、吹奏楽部だった筆者がよく言われた言葉は、「一日休むと自分にバレる、二日休むとにプロバレる、三日休むと聴衆にバレる」。楽器は毎日吹かないとすぐに退化してしまう。1日どころか、何年も演奏していないと肺活量も落ち、以前のような腕前に戻るにはかなりの時間を要するだろう。しかし、もう一度あの頃のように演奏したい、と願う方は少なくないのではないか。「YAMAHA YDS-150」は、73音色中の56音色がサックスの音色で構成。ソプラノ、アルト、テノール、バリトンというタイプの違いのみならず、ロック、ジャズ、ポップス、ファンクなど様々なジャンルの音色を搭載。吹奏楽部だったけど、ジャズを吹いてみたかった、いま流行りの曲をサックスで吹いてみたい、なんて願いも叶えられてしまう。現在発売されている電子管楽器の中で最もサックスに近いと言えるのが「YAMAHA YDS-150」である。

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