テック系ポッドキャストのトップランナー 『Off Topic』宮武徹郎&草野美木に聞く“音声コンテンツの優位性”

Podcast『Off Topic』制作秘話

 米国を中心に最新テックニュースやスタートアップ、ビジネス情報やカルチャーまで、ゆるく深堀りしながら解説するポッドキャスト番組『Off Topic(オフトピック)』を配信している宮武徹郎さんと草野美木さん。「JAPAN PODCAST AWARDS 2020」で「Spotify NEXTクリエイター賞」を受賞し、6月からはSpotifyのオリジナル番組として『bytes(バイツ) by Off Topic』の配信も開始。

 2021年8月から日本でも利用可能になったSpotifyの新フォーマット「Music + Talk」も早速活用し、音声コンテンツでの新しい情報発信の方法を探求されている二人の、ポッドキャストクリエイターとしての活躍の裏側に迫った。(編集部)

音声メディアの魅力は「手軽さ」と「親しみやすさ」

ーーまず最初に、Podcast番組『Off Topic』と『bytes by Off Topic』のそれぞれについて、簡単にご説明をお願いします。

宮武徹郎(以下、宮武):『Off Topic』はアメリカのトレンドやニュースを、深掘りしてお届けする番組です。テクノロジー視点だけでなく、スタートアップやZ世代などアメリカの今の文化に基づいて解説しているのが特徴ですね。対して『bytes by Off Topic』は、最新情報をいち早くお届けするために新たに立ち上げた、約10分間の番組です。

ーー『Off Topic』で、特に印象に残っている回はありますか?

草野美木(以下、草野):Twitter社が今後どうビジネスを展開するか、番組の予想も含めて話をした「#57 覚醒したジャック・ドーシー」という回ですね。情報としてだけじゃなく、その背景から説明しました。

宮武:僕もその回はとても良かったと思っています。もう1つあげるなら、次世代SNSの話を取り上げた「#51 Clubhouse日本でどうなる?」ですかね。昨年5月にいち早くClubhouseの情報をキャッチしてお届けすることができました。

 

ーーありがとうございます。お二人の出会いや、Podcastを始めたきっかけを教えていただけますか?

草野:以前はVC(ベンチャーキャピタル)で働いていて、宮武さんは同じ部署の先輩でした。そこでアメリカのテック系のニュースについて話すうちに、Podcastを始めることになりました。

宮武:お互い音声コンテンツの市場にはかなり興味があったんですよね。草野さんはメディア運営の経験がありますし、僕も情報収集はしていました。当時、音声市場がアメリカで伸びていたこともあり、始めてみたのがきっかけです。

草野:2018年当時、Anchor(アンカー)のアプリがアップデートされたので使ってみたいと思っていて。あとはアメリカのVCの人やテック系メディアはみんなPodcastをやっているのに、日本ではあまりやっている人がいなかったので挑戦してみたかったんです。

宮武:手軽さも大きなポイントですね。テキストで書くと編集が必要ですが、音声だと気軽に会話するだけで成立します。海外のメディアもそんな感じで始めていたので、それを日本でもやってみようって感じですね。

ーー草野さんはブログも書かれていますよね。ブログなどの文章メディア、Instagramなどの画像メディア、YouTubeなどの動画メディア、そしてAnchor、Spotifyなどの音声メディアがありますが、それぞれの魅力や、ご自身の使用感を教えてください。

草野:シンプルに、文字より音声の方が手軽ですね。あとは発信側のパーソナリティが伝わりやすいのも魅力だと思います。

宮武:人柄が出ますよね。親しみやすさはテキストと音声の大きな違いです。ただ図とか比較するものとか、音声だと見せられないものを扱うにはテキストが便利ですから、どちらも利用するようにしています。あとは、まずPodcastで全体像を説明してから、より具体的な事例などを文章で紹介することもあります。

草野:リアルタイム性があるものはPodcastで配信していますね。文字より音声の方が早く届けられますから。それとPodcastのほうが、より幅広いジャンルの方に聞いていただいてますね。ブログを書いていたときは、テック系やスタートアップ系の方が多かったです。

ーー番組の企画は、どのように作っていくんですか? アイデアの出し方や、編集などの制作プロセスを教えてください。

草野:まずそれぞれが気になったトピックをシェアして、打ち合わせをします。そして別の日に収録をして、私が編集して公開するという流れですね。

宮武:お互いにおもしろいトピックやアイデアを出しあって、何がPodcastに合いそうか、記事にするべきかを話し合っています。

ーーPodcastに合うものというのは、具体的にどういうものなのでしょうか?

宮武:僕は大体、草野さんの勘に任せています(笑)。

草野:テックとは別のカルチャー寄りの話や、アメリカの政治っぽい話、都市の話などでしょうか。テック業界と、それに紐づくカルチャーがわかるテーマ選びを心がけています。

ーー『Off Topic』はデータや客観的事実に基づいた考察が多く、そこが他の番組と一線を画す部分かと思います。作業の役割分担や、構成で心がけていることはありますか?

宮武:おおまかな構成は僕が担当していて、まず全体として伝えたいテーマを決めることから始めます。そして収録の前に草野さんに軽く説明をして、意見交換をして、収録後、そのままいくか、構成を変えるかは草野さんのディレクションにお任せしています。

ーー最初に目指していた方向性から、回を追うごとにエンタメ、カルチャー寄りになっていて、テック系のPodcastの中では聞きやすいように感じます。

宮武:お互いの好みの方向へシフトしてるんでしょうね。

草野:動向として、ソーシャル系のサービスがすごく盛り上がっていたのもありますし、私たちが好きなトピックだということもあります。最初は創業の話とか、IPOの話をしていましたよね。

宮武:テックはアメリカでは文化として根付いているので、テック業界について話すには、自然と文化についても話す必要が出てきます。

ーーSNSだけでなく、ゲームに関しても取り上げることが増えていますよね。ビジネスの文脈の中でゲームが語られるというのは、新しい傾向ではないでしょうか?

宮武:そうですね。実際にゲームが次のSNSになりかけていますし、メタバースやバーチャルの世界が今後出てくるにあたって、新たなサービスも集まってきます。VCの方々は絶対に注目しているでしょうから、我々も情報を収集し、お届けするということですね。

ーー草野さんはあまりゲームをされないとのことですが、『Off Topic』で取り上げる中で、ゲームへのマインドや価値観の変化はありましたか?

草野:今ってゲームがコミュニケーションのベースになっていて、新しい世代でおもしろいなと感じています。

ーー『Off Topic』を始められたことで、ご自身のお仕事にどんな影響がありましたか?

草野:ミュージシャンやクリエイターの方など、テック系じゃない方に聞いていただけたのは、すごくインパクトがありました。

宮武:まさにそこですね。我々自身がクリエイター側に立ったからこそ、彼らの気持ちが理解できで、クリエイターさんへの投資や支援がやりやすくなりました。あとは情報を発信することで、いろんな出会いがありましたね。今まで会えなかったような業界の方とお話しする機会も増えました。

ーー番組のさらなる成長のためには、何が必要だと思いますか?

宮武:正直まだ『Off Topic』の最終的な方向性が見えていない状況なんですが、逆にそれが楽しい部分でもあって、どんな方向にも進んでいける番組だと思っています。メディアとしてマネタイズするのか、別のところでマネタイズするのかなど、常に新しい可能性を模索しつつ、楽しいことを追求していきたいです。

ーー番組も長いかと思いますが、お互いへの印象に変化はありましたか?

草野:前にSpotifyの担当の方から、「Podcastでお二人とも敬語なのって珍しいですね」って言われたことがあります。ある程度距離感があるからこそ、このおもしろさがあるのかなと思いました(笑)。

宮武:(笑)。VCにいるときは、僕がアメリカと日本を行き来していたこともあり、草野さんと話す機会は割と少なくて、Podcastがきっかけで話すようになりました。

草野:VC時代の宮武さんは、アメリカのテックに詳しい印象でしたが、アメリカに住んでいた経験があるからこそ、カルチャーとテックの融合が肌で感じられるんだろうなと思いました。

ーーその絶妙な距離感が、良い意味で緊張感を作り出しているからか、情報がすらすら入ってくる気がします。

草野:テックの話はたくさんしますがプライベートの話はほとんどしないので、お互いどういう生活をしてるかわからないですね。

宮武:全然わからないね。

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