iPhone13の強敵に? Google「Pixel 6」は独自開発プロセッサでなにが変わるのか
米Googleは今秋の投入を予定している次期スマートフォン「Pixel 6シリーズ」の情報を、公式ブログなどで先行公開した。毎年投入されるPixelシリーズだが、Pixel 6では独自プロセッサ「Tensor」を搭載するなど、同社のスマートフォン戦略に大きな変化が見て取れる。
AI/ML処理による独自機能を搭載
2016年の「初代Pixel」から数えて6世代目となる、今回のPixel 6。これまでもPixelシリーズでは独自機能が投入されてきたが、今回のPixel 6では前例のない規模での先進的な試みが行われる。そのキーワードは、AI(人工知能)とML(機械学習)だ。
たとえばPixel 6では、手ブレした写真を後から修正することができる。さらに、インターネット接続無しでのリアルタイム書き起こしや、再生動画のリアルタイムでの翻訳、音声入力とキーボード入力の同時処理も可能だという。つまり、子どもの写真を手ブレを気にせずに撮影したり、外国の友人との会話や動画の多言語対応をスマートフォンだけで可能にするのである。
これらの機能の実現には、さまざまな面でAIとMLが有効に利用されている。またTensorの新しいセキュリティコアや、生体認証などに利用される新チップ「Titan M2」の搭載により、ネット接続なしでの高度なセキュリティ機能も実現するという。
独自プロセッサを開発する意味とは
Pixel 6の先進的な機能を支えるのが、Googleが独自開発したArmベースのプロセッサ「Tensor」だ。なお、iPhoneに搭載されてる「Aシリーズ」プロセッサや、Androidスマートフォンで一般的な「Snapdragonシリーズ」も、英Armが開発する同アーキテクチャを採用している。
これまでのPixelシリーズでは、米Qualcommが開発するSnapdragonプロセッサが採用されてきた。しかしTensorのような独自プロセッサでは、先述のような特徴的なAI/ML処理の組み込みなど、独自の機能を搭載することができる。これにより、特に他のAndroidスマートフォンとの差別化が可能になる。
製品投入と部品供給という面でも、独自プロセッサの採用は有利に働く。自社開発のプロセッサなら、好きなタイミングで市場に最新モデルのスマートフォンを投入できる。さらにプロセッサの供給でも、Qualcommのような社外の組織の調達計画に影響されなくなる。ただし世界的なチップ不足が叫ばれる昨今、Googleもその影響を受けざるを得ないだろう。