フォートナイト「Ariana Grandeリフトツアー」に見た、バーチャルライブの現在地と今後の進化の可能性

フォートナイト、アリアナのバーチャル公演を見た

 そうなってくると、やはりバーチャルライブに求められるのは、これまでにバーチャルライブを行なってきた多くのアーティストが口を揃えるようにして言ってきた"リアルとは違う別物のライブ体験ができる"という点だろう。その意味では、今回のリフトツアーでの冒頭3曲でのゲーム要素や実写なしのフルバーチャル展開は、リアルライブが復活しつつある現在においてもバーチャルライブでしか体験できない、それならではの魅力が大いに表れた部分だった。

 『Fortnite』は、昨年、いち早くバーチャルライブの可能性を示して見せた。そして、今、そこから1年以上が経ち、ライブエンタメを巡る状況は再び変化している。その変化の中でバーチャルライブはどう進化するのか?。先月の『SHIN SEKAI “nowhere”』では、その問いに対するひとつの答えが示されたが、今回のリフトツアーではゲームとの親和性をより高めていくという、また別の答えを示していたように思う。

 また、今回のリフトツアーでも、Ariana Grandeをイメージしたコスチュームがセットになった「アイコンシリーズ - ARIANA GRANDE」の販売が行われたが、以前の「Astronomical」では商品の売り上げを含めて約2000万ドルの収益が発生したことも報告されている。そのような実績から今後、『Fortnite』のようなメタバース的な仮想現実を舞台にしたライブ体験関連ビジネスの拡大が予想されるなど、メタバース世界でのバーチャルライブ体験の提供はアーティストを始めとした音楽業界人にとっても大きな収益源になる可能性を秘めている。その意味でもバーチャルライブはこれから先、どのような発展を遂げていくかが引き続き気になる分野だ。

 そのことも含めて、今後も体験の在り方を追求していくことで、バーチャルライブの価値は高まっていくはずだ。また、ひいてはそれがバーチャルライブのさらなる可能性を切り開いていくことにつながるのではないだろうか。

〈Source〉
https://www.udiscovermusic.com/news/ariana-grande-rift-tour-fortnite/

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