米大学生らが開発した「20通のメッセージを終えるまで会えない」新感覚のマッチングアプリが話題
コロナ禍をきっかけに従来の恋愛の在り方が見直されるなか、米国では大学生らの手によって新感覚のマッチングアプリが開発された。
スタンフォード大学やカリフォルニア大学ロサンゼルス校、サンフランシスコ大学の学生らが手がけたそのアプリとは「Glimpse」。アプリの開発を手がけるGlimpse社のCEO、カルバン・アッカー氏いわく、マッチングアプリでマッチングが成立後、会話が続かず、それゆえ恋人を見つけられずにいる友人を見て思いついたのがこの「Glimpse」だ。その意味では既存のマッチングアプリの枠組みを超えている。
まず、潜在的にマッチする相手かどうかを見極めるために、ユーザーは写真をチラッと見て判断し、もし自分に合わないと思ったら左にスワイプ、相手に興味を持ったら右にスワイプする。ここまでは通常のマッチングアプリと変わらない仕様だが、注目すべき機能はここからだ。
相手の人に興味を持ってもらえ、マッチングが成立すると、メッセージのやりとりが始まる。20通のメッセージを送信し終えるまでは、名前や写真を隠した状態でやりとりを行うというブラインドデートの手法がとられる。最初に写真を見て判断する際に多少のバイアスがかかっているとも思われるが、写真を見ながら話している時に生じるバイアスを減らすために考え出されたのが「Glimpse」であるという。通常のマッチングアプリではスワイプに時間をとられ、無駄に時間を浪費しがちだ。この「Glimpse」は基本的に会話に重点が置かれており、外見に左右されることなく、中身で相手を見極められるようになっている。その結果、ユーザー自身も気落ちすることなく、ストレスフリーの状態で恋活を続けることができるのだという。
たかがAI、されどAI...…。AIは第4次産業革命の担い手となり、18世紀半ばから19世紀にかけて英国で起こった産業革命を上回る社会の変革を実現し得る力を秘めている。AIをきっかけに恋活や婚活にも革命が起こり、AIが組み込まれたマッチングアプリが恋活や婚活のスタンダードとなり得ることは、インドのエンジニアらも予想していた事態だ。中国のAI系コンサルティング企業Syncedは、インターネットに強いミレニアル世代が今後の社会を動かしていくことを踏まえたうえで、マッチングアプリは急成長を遂げていく業界のひとつとして捉えている。さらにドイツの会社の調べによると、2019年におけるマッチングアプリ業界の収益は16億6千米ドル(約1,826億円)であったが、2年後の2023年には4.2パーセント増になると見込んでいる。
サイバーセキュリティ会社カスペルスキーが世界27ヶ国、1万8千名を対象に実施した「アルゴリズム時代における恋愛」に関する最新の調査では、マッチングアプリ利用者の44パーセントがAIによる選別・マッチングを信用していると回答。また、恋愛においてマッチングアプリは重要な役目を担っていると考えている人も少なくなく、調査対象者の54パーセントはマッチングアプリのおかげでデートがスムーズにいくようになったと回答している。
以上の調査結果を受け、経済紙『Forbes India』は「生涯に1人の配偶者を選ぶという結婚観が薄れ、一時的な関係を求める人々が増えたこと」を明らかにしたが、マッチングアプリは恋愛をスムーズにするだけでなく、宗教を超え、人々の恋愛や結婚観にも多大な影響を及ぼし得るだろう。