インフルエンサーが生き残るためには“キャラ立ち”が必要? 「小柄女性向けブランド」ディレクターが明かす、共感を得るテクニック

「rem closet」松井里穂インタビュー

 近年、様々な業界においてD2C(Direct-to-Consumer)が注目を集めている。

 ことアパレル業界でも、大手企業からスタートアップ、ファッションデザイナーなど多くのプレイヤーがD2Cブランドを立ち上げ、新時代のファッションブランドの勝ち筋を模索している状況だ。

 そんななか、アパレル大手のストライプインターナショナルが手がける小柄女性をターゲットにしたD2Cブランド「rem closet」は、順調な滑り出しを見せているという。

 同ブランドのディレクターであり、ファッションインフルエンサーとしても活躍する松井里穂にブランドの世界観づくりで心がけていることや今後の展望について話を聞いた。(古田島大介)

ファッションコーデを投稿するのが日課だった販売員時代

 松井は短大卒業後、不動産会社の営業事務としてキャリアをスタートさせる。その後、アパレル業界への憧れから、ストライプインターナショナルへ転職し、渋谷にあるkoeのショッパー(販売員)として勤務することになる。

 「2018年にkoeがオープンしたのですが、SNSを通じてブランドや店舗情報を発信し、お客様に魅力を伝えていくために率先してSNSの投稿を行ったんです。毎日4パターン、月120体のファッションコーデを投稿すると決め、常に着回しを考えながら、朝早く出勤して写真を撮るのが日課でしたね。この生活をひたすら2年間続けたことで、私のファッションスタイルに共感してくださる方が増えてきて、実際に店舗まで来て下さったり、インスタにリアクションをいただけたりするようになった。また、WEARやインスタで私の個人アカウントも開設し、様々なファッションコーデやライフスタイルの様子を投稿したところ、次第にフォロワーが増えていきました」

 こうして社内でも頭角を表すようになり、年間売り上げトップを達成したことで表彰されたこともあったそうだ。

 「会社側から『今度D2Cブランドを立ち上げるので、ぜひ協力してほしい』とお声がけいただいたことが『rem closet』を始めたきっかけになります。将来、自分のブランドを持ちたいと思っていたので、またとないチャンスでした。ディレクターとしてブランドを切り盛りするとともに、これまで地道に培ってきたSNS運用の知見も活かしながら、等身大のブランドを作ろうと考えました」

小柄女性の当事者だからこそ、ブランド独自の世界観が創れる

 rem closetのターゲットに置いたのは身長153㎝以下の小柄女性だ。

 「着たいのにサイズが大きすぎる」「いつもサイズ直しが必要」といった小柄女性ならではの悩みを踏襲し、既製品にはないサイズ感やシルエットをブランドに反映させた。

 松井自身も身長が150cmで、小柄女性の当事者だからこそ、同じような悩みを持つ女性に向けてカジュアルかつモードなスタイルを提案できるブランドを創り上げたわけだ。

 「身長が低いことで、既製品ではなかなか体型に合った洋服を選べない女性の方へ、『体形にぴったりの服を着られる高揚感や幸せ』を届けたいと思っていました。これまで、着ることを諦めていたテイストのファッションアイテムや、新しいコーディネートへの挑戦など、rem closetを通じて小柄女性の多様なファッションライフを彩りたいという気概で取り組んでいます」

SNSごとに投稿内容のトーン&マナーを変える

 そんな松井は、自らがファッションインフルエンサーという特性を生かし、SNSを巧みに使い分けているという。

 WEARのフォロワー数は10万人に上り、YouTube、Instagramと他プラットフォームでも続々とファンを増やし続けている。さらにはTikTokも活用するなど複数のSNSサービスを運用するなかで、どのようなことを心がけているのだろうか。

 松井は「SNSごとに投稿のテイストやトーン&マナーを変えるようにしている」とし、次のように説明する。

 「インスタは感度が高いユーザーが多い印象なので、世界観を統一するよう意識しています。まず、rem closet公式のアカウントは、洋服にフォーカスした投稿を中心に上げていて、私の個人アカウントではrem closetの服をまといながら、日々のライフスタイルを切り取った投稿を心がけていますね。

 日常生活に自然と溶け込むような形で、ファッションコーデやスタイルを見せられるよう、私らしさが伝わるように『#低身長コーデ』『#150cmコーデ』といったハッシュタグも盛り込むようにしています。

 他方、WEARはrem closetの公式Webには載せていない着回しやコーディネートを投稿するようにしています。というのも、ZOZOTOWNへの紐付けができるので、購入意欲の向上やECサイトへの送客を目的に運用しているんです。rem closet以外のブランドもファッションコーデに取り入れるようにしていて、ユーザーが自分のコーディネートに生かせるような工夫も凝らしています」

 YouTubeは松井さんの着こなしのみならず、私生活にも興味を持つユーザーに向けてコンテンツを配信しているそう。

 「rem closetは2020年3月にローンチしたのですが、直後にコロナ禍になり、何か発信できないかと考えたときにYouTubeチャンネルを開設したんです。初めの頃は趣味の範囲でしたが、次第にチャンネルを見てくださる方が増え、ファッション以外にもメイクアップやヘアケア、ファンからのQ&Aに答えるなど、様々な切り口でコンテンツを充実させるようになりました」



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