嵐・二宮和也「ジャにのちゃんねる」大ブレイクの裏にある戦略とは? チャンネルの強みとメンバーの個性を分析

 嵐・二宮和也が開設したYouTube公式チャンネル「ジャにのちゃんねる」が4月29日、チャンネル登録者数200万人を突破。活動開始からわずか21日間での200万人達成は、日本で最速記録となった。

 ちなみに、それまでの1位は嵐のYouTube公式チャンネル『ARASHI』だったというのも、さすがとしか言いようがない。もちろん、これほどの注目を集めているのはそれだけの知名度と人気にほかならない。しかし、それだけではない魅力と戦略が、この『ジャにのちゃんねる』には垣間見える。そんな「ニノ、わかってる」なポイントを、いくつかピックアップしてみたい。

「楽しい」をノンフィルターで、自ら撮影&アップロード!

 YouTubeの面白さは、大前提として「楽しいの伝播」がある。「好きな物を紹介したい」「自分の特技を発信したい」「面白いと思ったものを共有したい」……と、純粋に「楽しいからやる」から始まり、発展してきたのだ。

 今でこそ「YouTuber」という名前が生まれ、「人気者になりたい」「お金を稼ぎたい」という目的を持って始める人も多くいるが、それでも「楽しの伝播」という大前提がないと、なかなかチャンネル登録者数が伸びることは難しい。

 最近では人気YouTuberとなればプロモーションなどの案件動画もいくつか見られるようになるが、ビジネスの香りがしてしまうと一気に興冷めしてしまうのもそのためだ。一方で、そのYouTuberが本当に好きな商品やサービスの案件動画が来ると、ファンと共に喜ぶことができるのも、また面白いところ。

 やらされている感じ、誰かの指示に従っているように感じる匂い、本人が不本意な演出……そうしたものは「もうテレビでおなかいっぱい」「YouTubeは本気で楽しんで発信するものだけを見たい」と感じている視聴者が多いのかもしれない。

 そう思うと、嵐の二宮和也という人は、今さら『ジャにのちゃんねる』なぞ始めなくても、十分な人気も収入もあるのは誰もが知るところ。それにも関わらず、こうして新たなチャンネル開設にトライした動機といえば、「楽しいことがしたい」しかないのではないか。

 その証拠に、撮影&公開作業に一切スタッフを介さない。編集作業は、その技術があるKAT-TUNの中丸雄一を召喚。「チャンネル登録者数20万人いったら編集スタッフを雇うから」と言いつつ、積極的にスタッフを入れるつもりはなさそうなところも微笑ましい。

 遠慮のない心の声のテロップも、二宮と中丸のタッグだから入れられるのだ。そして、そのフォローについても二宮自ら概要欄でコメントする。それも編集スタッフが入っていないからこそできること。どこまで彼らがやってくれるのか、そんなゲリラ的な展開の連続に気にならないわけがない。

ここでしか見られない、4人の絶妙なバランス!

 さらに、二宮の戦略がズバ抜けていると感じたのは、単に個人チャンネルを開設したのではなく、グループの垣根を超えたジャニーズメンバーの組み合わせというサプライズを実現させたところだ。

 まず最初に誘ったKAT-TUNの中丸雄一は、先述したように編集技術があることはもちろんだが、彼を重宝した理由はそこだけではない。それは、次に誘ったSexy Zone・菊池風磨とのバランスの良さだ。二宮は、ゲーム好きな自分と漫画創作や動画編集などインドアな趣味を持つ中丸とをまとめて「陰キャ」、社交的な菊池を「陽キャ」として、その対比を楽しむ。ジャニーズアイドルを指して、そんなイジり方ができるのは、ジャニーズしかいない。

 「陽キャ」と称された菊池だが、実はアイドル業と並行して慶應義塾大学のSFCを卒業。チャラそうでいて根は真面目という何層にも魅力が掘り返せるキャラクターであること。そして上下関係を重視しながらも、「中丸くん僕のこと菊池って呼んでましたっけ?」と気負うことなくツッコむことができる器用さも、二宮にとって必ずほしい逸材だったに違いない。

 さらに「絶対的な演者」として最後にオファーしたのが、Hey!Say!JUMPの山田涼介だった。職人気質な中丸は二宮と共に、裏方兼演者という立ち位置でチャンネルに登場することになる。そして、仕掛け人である二宮とバランス感覚を持つ菊池は、企画内容によってはとぼけて見せたり、三枚目ポジションを担わなければならなかったりする。そうした意味でも、どんな企画でも崩れることのない2枚目ポジションとして山田の存在が欠かせないのだ。

 この2枚目ポジションも、ルックスの良さだけではなく、中身の男前さも兼ね備えていなければならない。その点、山田はHey!Say!JUMPのセンターに立つまでの葛藤に加えて、あのジャニー喜多川氏に「山田のダンスを見ると涙が出る」とまで言わしめた努力の人。自分にはストイック、かつグループへの愛情深さも人一倍という、アイドルとして全方位完全無欠の男だ。

 例えば、あるお題に取り組むとき、常識的な解答=前フリというものがあってこそ、ボケが光る。その場合には、お題を出すのが二宮で、誰もが唸る正統派の解答を山田が、そこに中丸がマイペースなボケをかぶせ、それを見越した菊池が陽キャなオチで締めるという展開が組み立てられる。二宮はまるでRPGのパーティーを組むように戦い方を想定して、このメンバーに声をかけていったのではないかと想像してしまうのだ。

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