『恋とオオカミには騙されない』最終話ーーオオカミはいったい誰? 最終告白がまさかの展開に

『恋とオオカミには騙されない』最終話レビュー

 最終告白。1人目の女子はあおい。現れたのはそらだけで、つなは来なかった。「最後くらい素直に……大好きです。オオカミちゃんじゃないって信じてます」と伝えるそらにあおいは赤い風船を手渡す。あおいはオオカミではなかった。

 あおいとそらの月LINEデートの際、つなから誘われたことを隠していたと思われたが、実はLINEの通知がオフになっていたのだ。走ってそらを追いかけ、その事実を伝えたあおいに「俺は絶対気持ち変わらず待ってるから。あおいちゃんが満足するまで話してきてください」と優しく受け止めるそら。

 成立したあとも、シャイな2人は「全然目合わさないじゃん」と恥ずかしそうに手を繋ぐ。あおいが気持ちをなかなか表に出さなかったのはオオカミちゃんだったからではなく、単に照れていただけだったのだ。最後の最後に恥ずかしがりながらもそらに寄り添う幸せそうなあおいを見ることができ、ほっとすることができた。

 2人目はりょうか。現れたのはつなだ。

 あおいとの月LINEデートで、つなは「俺の気持ちはりょうかにある」と伝えていた。決めてとなったのは、りょうかが最後の太陽LINEデートで「つなくんを好きになれて本当に良かった」と真っ直ぐ想いを伝えてくれたことのようだ。「りょうかのことが好きです。オオカミじゃないって信じてます」と告白した。

 差し出した赤い風船をそっとつなが掴む。りょうかはオオカミではなかった。「来てくれないと思った」と涙ぐむ様子から、つなの前では気丈に振る舞っていたりょうかだったがが実際は不安で不安でしかたがなかったのだろう。「全部好き!」と伝え微笑み合う2人は、「幸せ」以外当てはまる言葉がないくらい眩しかった。

 3人目はみちゅ。現われたのはもくだい、そしてちょこだ。ちょこはTakiの元へはいかなかった。「みちゅと過ごせた時間は楽しくて宝物で、本当にすごく幸せでした。オオカミちゃんじゃないと信じてます」「まず悩ませてごめんなさい。俺は美月のことが好き。オオカミちゃんだとしても大好きです」と2人ともそれぞれの気持ちを伝える。

 赤い風船が手に渡ったのはなんとちょこ。これにはスタジオからも「こんな結末ある……?」と一瞬時が止まっていたほどだ。

 みちゅは最終告白当日の朝に月LINEを使っていた。呼び出したのはもくだい。「今の気持ちを伝えようと思って。美月はちょこくんかなって」とまさかの告白当日に衝撃の事実を伝える。

 みちゅは中間告白で成立しちたりょうかとちょこに遠慮をしていたらしく、「もっくんと一緒にいるのはもちろん楽しかったけど、それ以上にちょこくんといると落ち着く」と正直に話した。

 実質フラれたことになるもくだいだが決して悲しそうな表情は見せず「でも気持ちって変わらないもんだね。大人になったのかな。やっぱ大好きなのは変わんないわ」とみちゅを気遣ってなのか、本心なのかはわからないが爽やかな面持ちで受け止める。

 確かにこの3ヶ月を通して最も成長したのはもくだいだ。不器用ながらも自分の殻を破り、「好き」「一緒にいたい」などストレートな言葉でみちゅに真摯に向き合ってきた。そして失恋した相手に「本当にありがとう」と伝えられる人はなかなかいない。ましてや16歳にして実現しているのだから、今後彼を待ち受ける恋愛が輝かしものであることは間違いないだろう。

 みちゅは「もっくんの優しさがあったから、こうやってちょこくんに気持ちを伝えられた」と彼がいたからこそ成立することができたと噛み締める。その想いをちょこも感じ取り「ここにいるのは間違いじゃないと思ってる。幸せにします」とその覚悟をあらわにした。

 残すはなえなのとTaki。脱落したなえなのからはにコウヘイ(樋口晃平)に手紙が。コウヘイは手紙を読むと泣き崩れ、一緒に用意されていた赤い風船を手に取る。そして海に向かって歩き出すと、空へ風船を静かに放った。

 オオカミちゃんはなえなのだったのだ。手紙には「一番謝りたいのは、脱落がわかったときの月LINEデートで『なえを捕まえてくれたら復活する』と言ったこと。あの時復活できないとわかっていたけど、コウヘイに捕まえて欲しくてひどい嘘をつきました」と記されていた。

 恋をしてはいけないオオカミだけれど、真っ直ぐに気持ちをぶつけてくれるコウヘイとの別れが惜しくてしょうがなかったのだ。そう思うと、コウヘイからこんなにも想われていながらも、他の人と迷っているなど自身の気持ちをはっきりさせなかったなえなのの態度は、彼への優しさだったのだろう。

 最後まで誰がオオカミなのか、どのカップルが成立するのかがここまで予測がつかなかったのは、シリーズのなかでも今作が群を抜いているのではないだろうか。しかし「オオカミが男女どちらにいるのかがわからない」という難解な設定だったからこそ、最初から疑いをかけることなく男女ともに意中の相手に向き合えていたようにも思える。次回のオオカミシリーズはどのような仕掛けで恋愛ドラマが繰り広げられるのだろうか?今から待ち遠しい気持ちでいっぱいだ。

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