韓国SF超大作『スペース・スウィーパーズ』の魅力 米中“スペースオペラ”との違いは?

 Netflixで2月5日から配信が始まった、韓国のSF超大作映画『スペース・スウィーパーズ』は驚きの作品だった。韓国の国内プロダクションによる作品だが、そのルックの豪華さはまるでハリウッド映画のようだ。アメリカと中国以外からこのような大作映画が出てきたことは、世界の映画界にも大きなインパクトを与えるのではないか。

 本稿ではこの韓国映画初の“スペースオペラ”の魅力について語ってみたい。

ビジュアルはハリウッド並みだが予算は安上がり

 『スペース・スウィーパーズ』は、2092年の未来を舞台にしたSF映画だ。地球の環境は悪化し、人類は宇宙空間にUTSと呼ばれるコロニーを建設し宇宙へ移住を始めている。しかし、移住できるのは限られた富裕層のみ。人類の宇宙進出が活発になるにつれ、宇宙ゴミが大量に廃棄されることが問題となっている。主人公は、そんな宇宙ゴミを清掃する船の乗組員だ。

 ある日、主人公の乗る宇宙船「勝利号」がドロシーという名の少女体ロボットを拾うことから物語は動き出す。ドロシーは大量破壊兵器として知られた存在で、彼女を巡ってテロリストや巨大企業などがしのぎを削る戦いが勃発。主人公たちのチームは金目当てにドロシーを利用しようと企むが、争いに巻き込まれ、彼女を守るべく戦うようになる。

 原作は韓国で人気の同名WEBTOONで、日本でも『ピッコマ』で2月8日から配信開始されている。

 宇宙を舞台に一癖も二癖もあるはみ出し者たちが、巨大な権力を持った相手に一人の少女を巡って大立ち回りを繰り広げる、義侠心あふれるSF大作で、非常にエキサイティングな仕上がりになっている。韓国映画界は、はみ出し者たちの絆を描くのを得意としているが、本作にも韓国映画の長所が随所に盛り込まれていて、ビジュアルの豪華さだけでなく、そういった韓国映画らしさで勝負できているのが素晴らしい。

 SF的要素に目を向けてみると、スペースコロニーや火星移住計画、ナノボットや人間とともに生きるアンドロイドなどなど、お馴染みのキーワードが数多く登場する。本作のナノボットは、荒れ果てた土地で自然を発達させることのできる超技術として描写されており、その活性化を巡ってドロシーという少女がカギを握る存在となる。

 ビジュアル面でまず目を見張るのがコロニーが建設された宇宙空間の実在感。『スターウォーズ』や『スタートレック』など、名作スペースオペラにも引けを取らないレベルのビジュアルを実現している。主人公たちの愛船である勝利号の汚れた質感とクールで無国籍感覚あふれるデザインも秀逸。仲間の一人であるアンドロイドはおそらくCGで作られているだろうが、見事に生身の役者と共演を果たしており、空間に馴染みきっている。

 このような大作映画が韓国から生まれた背景には、当然CG技術の発達があるが、韓国映画は小さい国内市場だけでは映画事業を回せないため、積極的に海外市場を意識した作品を作り続けてきたことがある。これまでも外連味ある素晴らしいアクション映画を数多く送り出してきた韓国だが、SFというジャンルはやはり世界的にも人気の高いジャンルで、技術の発展がようやく国際市場でも戦えるSF作品を生み出せるレベルになったということのようだ。作品内の世界観も国際市場を意識してか、韓国人だけでなく、数多くの人種と言語が登場し、無国籍な雰囲気が立ち込めている。『ブレードランナー』的な風景に影響されている面もあるが、それだけではない、より多くのカルチャーを取り込んだミクスチャー感が心地よい雰囲気を生んでいる。

 気になる製作費だが、約240億ウォンだそうで、日本円で約22億円といったところだ。韓国や日本映画の製作費としては高額だが、ハリウッド映画の大作なら100億円を超えるのも当たり前。『スターウォーズ』シリーズなどは1本200億円に近い制作費であることを考えると、このビジュアルの完成度で22億円は安上がりと見るべきだろう。

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