「教育系YouTuber」なぜ人気? 『情熱大陸』出演・葉一の活躍に見る“動画学習”の有効性
いま“教育系YouTuber”が注目を集めている。11月29日放送の毎日放送『情熱大陸』では、登録者数120万人の教育系YouTuber・葉一(はいち)を特集。8年前から「とある男が授業をしてみた」というチャンネルで、小学3年生から高校生までを対象とした授業動画をアップしている。
今年7月に登録者数100万人を達成し、このところ視聴者が激増中だそう。番組では、彼の活動に密着し、その理由を探っている。
彼の授業が子どもを引き付けるのは、勉強が苦手な子どもにも理解しやすい語り口。ポジティブでわかりやすい言葉を使った独自の教え方が、頭にすっと入ってくるようだ。
番組で葉一は、「基礎が必要な子ってわからない問題が多すぎるから、わからなくて問題を飛ばしていくうちにやる気がなくなっていく。そこのハードルを下げたくて」と語っている。彼の動画は、勉強が苦手な子どもだけではなく、塾に行けない子どもやコロナ禍の休校などで満足に学べない子どもの、救世主的存在になっている。
批判の中でもやり続けること
葉一が教育の道を志したきっかけは、恩師への憧れだった。その後、自身が教育現場で働いた際に、経済的な事情で塾が受けられない子どもがいるなど教育の格差を痛感し、授業動画を配信したという。
社会的に意義のある取り組みに思えるが、最初から順風満帆ではなかった。彼が動画をアップしはじめた当時はYouTubeの知名度も今ほどなく、“教育×YouTube”という異色の組み合わせに、「教育現場を汚すな」「偽善者」などの心ない言葉も浴びせられたという。
しかし、批判に屈せず、多いときには1日9本とハイペースで授業動画をアップし続けた結果、「YouTubeでの勉強に最初は不安があった」という親たちからの信頼も獲得している。学校に招かれれば生徒からは人気者で、教育現場から講演会のオファーがくることもある。
彼のもうひとつの魅力は、YouTubeという機械的なツールを使っていながら、板書は手書きにこだわり、授業は編集を行わず臨場感を出すなど、「人の心」を込めているから。教育への情熱を燃やし続けたことにより、現在ではYouTube1本で家族を養えるほどの収入に達したそうだ。
彼のチャンネルは授業動画だけではなく、東大卒の人気謎解きクリエイター・松丸亮吾との対談動画など、勉強が楽しくなる企画も考案している。対談した松丸も、彼が貫いてきた教育×YouTubeのスタイルについて「革命ですよ」と絶賛していた。