『真・女神転生III』の復刻は『V』発売に向けた“プロダクトローンチ”か メガテニストが長い道のりを思う
最近のゲーム市場だと2016年から3年かかりで5本のトレーラーを引っ張った小島秀夫監督による『Death Stranding』の記憶が新しい。謎めいたビジュアルイメージの断片から徐々にゲームの内容が明らかになっていくのは本当に興奮ものだった。まだプレイしていない人は是非遊んで欲しい名作である。
そしておそらく世界で一番プロダクトローンチが上手いのはAppleだ。新製品を出すと発表するたびにリーク情報(自作自演かもしれない)がSNSを駆け巡り、噂やニュースに世界中が一喜一憂し、発表会は最高に盛り上がる。
ゲームに限らず有名ブランドには祝福と呪いがかかっている。
たった一行の発表があっという間にSNSで世界中に拡散されるのはファンの期待の反映であり祝福である。
しかし万が一その期待を裏切ってしまったら失望感はブランドイメージに傷をつけ、場合によっては回復不能になるかもしれない。
期待感は常に高まっていくのだから天国への階段を上り続けるのに似て、転落の恐怖とダメージは高まっていく。失敗できない呪いにかかっているのだ。
ゲームは遊ばなければ内容が分からない。だからまずは買ってもらう必要がある。
買ってもらうためには多くの人に存在を認知してもらい、なおかつ面白そうだ!と期待に胸膨らませてもらわなければならない。
そして、発売直後から感想やレビューが広まるゲームの販売戦略はまずは初動である。売れていなければ注目されないからだ。
こうして長いプロダクトローンチを経てようやく初動が成功してもレビューが否定的なものばかりだったら販売戦略は失敗だ。
肯定的なレビューやコメントが無ければ様子見していた潜在顧客は去ってしまう。
コンシューマゲームがヒットするというのはどこまでもどこまでも長く厳しい道のりである。筆者だったら絶対にこんな恐ろしい市場に参入したくない。
しかも『真・女神転生Ⅴ』の制作費は17年前にリリースされたⅢと桁違いなので、当時と同じくらいしか売れなかったら間違いなく赤字になってしまうだろう。
シリーズものなのに、かつてのファンが全員買ってくれたくらいでは成功できないのである。
ファミコン世代の筆者としてはこんなにも厳しい市場で戦い続けるメーカーには感謝しかないので、いちアトラスファンのメガテニストとして新作をきっちりフォローするつもりだ。
そしてゲームから離れてしまったメガテンファンはこの機会にまたコンシューマ機に戻ってきてほしい。
きっと最高の興奮が待っているだろう。
■レトロ
昭和の全方位型オタク。最近はサウナがマイブーム。ビジネス系からサブカル系まで幅広くウェブ関係の仕事をカバー。ライター兼YouTuber兼Web制作者で仕事も全方位型 。Twitter/YouTube