『LINE MOOK』はもっと注目されるべき! 決め手は対象年齢の転換か?
『LINE MOOK』の本当の読者層はどこか
ではなぜ、こんなに良いことづくしに思える『LINE MOOK』が、10代に普及しないのだろうか。このことについて筆者は、やはり前述のように、サービスと契約している雑誌の対象年齢が高すぎるからだと考えている。
いまLINEを一番活用しているのは、中学生である。中学生は親にInstagramやTwitterの利用を禁止・制限されていることもよくあるため、代わりにタイムラインを頻繁に活用している。例えば、筆者が中学生の頃によくやっていた「〇〇バトン」の投稿。自分のプロフィールや好き嫌い、思い出の写真や推しの写真を貼り付けて、友人に同じことをやってもらうように「バトンを渡す」というものだ。もう廃れたものかと思っていたのだが、先日中学生の妹のタイムラインを覗いてみたところ、バトンの投稿がたくさん流れてきているのを見つけて驚いたのだ。実際、母親の禁止でInstagramのアカウントもTwitterのアカウントも持っていない妹は、高校・大学生がSNSを開く回数に匹敵するくらいLINEを頻繁に開いて、タイムラインを常にチェックしている。つまり、LINEのタイムライン機能を、SNSでの検索や投稿と同じような感覚で利用しているのである。
高校生・大学生になると、ネットの利用も自主性に任せられる範囲が広がり、LINEは「事務連絡の手段」とみなされることが多くなってくる。したがって、LINEの機能をまんべんなく利用している中学生をターゲットに、さまざまなアプローチをかけてみることで、『LINE MOOK』のユーザーはもっと増えるのではないだろうか。中学生の女子が読む雑誌といえば、まず思い浮かぶのは『ニコラ』や『Popteen』、『Seventeen』などだ。まずはこうしたローティーン向けの雑誌媒体が『LINE MOOK』に進出し、タイムラインなどを活用して読者を増やすことが、ユーザー増加の起爆剤になるのではないかと筆者は予想している。もしかしたら『LINE MOOK』側は、今のところローティーンにアプローチを仕掛けるつもりはないのかもしれないが、筆者はこの世代にも十分可能性があるのではないかと踏んでいる。
そのほか、カルチャー雑誌の『LINE MOOK』版がどのようなものになるかを予想するのも楽しい。例えば、『装苑』や『GINZA』、『NYLON』や『POPEYE』などは、紙面上ですでに特有のコンセプトデザインを持ってアプローチを展開している。そのため、もし『LINE MOOK』を活用することになったとき、各雑誌の色味を十分に出すことができそうだ。『LINE MOOK』を各号のイントロダクションとし、本の購入までの流れを作ることもできるかもしれない。これまでInstagramでそうした広報活動を行ってきた雑誌媒体が、それと並行して『LINE MOOK』で雑誌の“無料体験版”のようなものを配信すれば、よりクリエイティヴな、デザイン性のある競争が見られるようになり、話題にも繋がるのではないだろうか。
(画像はpixabayより)