LINE、なぜデジタルトレカに参入? 「VVID」仕掛け人を直撃

LINE、なぜデジタルトレカに参入? 「VVID」仕掛け人を直撃

 LINE株式会社が今夏より提供する、デジタルトレーディングカードプラットフォーム『VVID(ビビッド)』。同プラットフォームは、アーティストやアイドル、コスプレイヤーなどの人物をはじめ、 アニメ、映画、 ホビーなど様々なコンテンツをオンラインで販売し、「コレクションできるデジタルトレーディングカード」を展開するものだ。

 既存の写真をそのままデジタルカード化するだけでなく、 アイドルやアーティストが笑いかけてくるカード、アニメ・ 漫画のワンシーンを切りとった動くカードなど、デジタルならではの特性を活かしたインタラクティブなカードを楽しむことができたり、ファン同士でトレーディング(交換・二次流通)が可能となっており、日本はもちろん、今後はグローバルを含めた展開を見据えているという。

 LINE社はなぜこのタイミングで、デジタルトレーディングカード事業に参入したのだろうか。今回は、同プロジェクトを手掛けたLINE株式会社エンターテイメント事業推進室室長・上遠野大輔氏に、事業発足の裏側から立ち上げまでのストーリー、今後の展開などについてインタビューを行った。

「既存の市場に入っていくのではなく、新たなマーケットを作り出す」

ーーまずはデジタルトレーディングカードプラットフォーム「VVID(ビビット)」を立ち上げた経緯について、お伺いできればと思います。

上遠野大輔(以下、上遠野):LINEは現在“カンパニー制“を取っており、『LINE MUSIC』や『LINE LIVE』などのセクションを「エンターテインメントカンパニー」とし、その中で新たな事業を立ち上げているのですが、そのなかで「C2Cかつエンタメ領域で、デジタルトレードマーケットを作りたい」という座組みで進めていたのが「VVID」でした。このサービスはアジアでの展開を予定しており、グローバルチームで進めるものもあれば、日本チーム主導で進めるものもあるのですが、今回はデジタルコンテンツに対する所有欲が高い日本からまず立ち上げようということになりました。また、CP(コンテンツプロバイダ)さんと向き合う中で、日本のコンテンツをグローバルに展開したいと考えている方は多いものの、違法コピーの問題や権利周りなど、解決しなければいけない問題が多かったのです。

上遠野大輔氏

ーーそういった問題があるなかで、なぜ「デジタルトレーディングカード」という形式を選択したのでしょうか。

上遠野:日本も世界も、トレーディングカードに関しては、オフラインの市場がしっかりできているなとわかったことが大きいです。また、二次流通のマーケットはできていて高額取引が発生しているものの、本来の権利者であるCPさんへの分配がされていないことが課題であると知ったので、そこもサービスとしてしっかり還元できるのではないかと考え、方向性を定めていきました。それに、いきなり「C2Cのトレードマーケットです」みたいな話をしたところで、ユーザーさんが置いてけぼりを食うだけなので、「デジタルトレーディングカード」という親しみやすいフォーマットを選択した、という部分もあります。

ーートレーディングカードがドメスティックにもグローバルにも市場があることは理解しているのですが、どちらかというとオープンなものというより、ファンがコアに楽しむものという認識があります。それをオープンにすることで、逆にユーザーの参入障壁が上がるのではないかと思ったのですが。

上遠野:オフラインのものをただデジタルに置き換えるのではなく、デジタルならではの魅力を発信していけば、高い熱量を持ったユーザーを獲得できるのではないか、と考えています。「VVID」にはデジタルカードのなかに動画を楽しめるものがあったり、一枚絵だったものが動くようになっていたりと、ただ集めるだけでなく、集めたカードをいかに楽しめるかというところにも重きを置いていますし、そういったコレクションを自慢できる形も含め、しっかりファンダムを作って、そのなかでトレードが活性化することを強く意識しました。

ーーオフラインのものをデジタルに置き換えるだけでなく、デジタルならではの価値を創造していくというのは、LINE エンターテインメントカンパニーCEO・舛田さんのインタビュー(https://realsound.jp/tech/2020/06/post-567854.html)でも打ち出されていました。やはり、LINE全体としてもそこはかなり意識しているテーマですか。

上遠野:そうですね。いずれのカテゴリでも、ただ既存の市場に入っていくのではなく、新たなマーケットを作り出すことを強く意識しています。「VVID」だと、すでに生写真の販売で大きな利益を上げているアーティストさんからすれば「自分たちの既存の売り上げが移行するだけではないか」という懸念があると思うのですが、僕たちはそこに踏み込みたいわけではありません。コロナ以降の社会においてデジタルコンテンツの価値が上がるなかで、いかにしてユーザーさんの所有感を満たし、もっと快適にトレードができ、CPさんにも権利料をお戻しできるのか。それを踏まえ、様々なエンタメ業界の方との対話や、国を跨いだ議論を重ねたうえで、既存の業界にとってもこのサービスをローンチする意味があると思ってもらえる、と確信しています。

ーーグローバルのチームと意見交換を進めながら開発をしたということですが、そのなかで新たな視点として取り入れた意見はありましたか?

上遠野:グローバルチームからは、韓国などアジアにおいてそこまでトレーニングカードという文化自体が流行していないこともあり、出てくる意見が新鮮でしたね。デジタルならではの仕様として、静止画だけではなくジャイロセンサーを使った動画や、時間帯に応じて絵柄が変わる機能など、普通の“トレーディングカード”という枠組みではなかなか思いつかない機能を取り入れることができました。あと、カード自体の仕掛けではないのですが、プラットフォーム上で自分が持っていないカードも、シルエットの上を指でなぞると少しだけ見ることができる、なんて機能もあります。

ーー全く情報がないよりも、それくらいチラ見せな感じが一番気になりますし、たしかにデジタルでしかできない見せ方でもありますね。ほかにデジタルでしか実装できないような機能はありますか?

上遠野:コロナ禍なので、今後の予定として考えている機能として、GPSの機能を活用した販売方法も検討されています。わかりやすく言えば、アーティストさんのライブ会場近くの路上で、無許可で売られている生写真みたいなものを、オフィシャルですぐに提供するようなイメージです。そして、そこに行けない人たちも、二次流通によって手に入れることができますし、そのライブが全国ツアーであれば、それぞれの地方の人同士が交換するといった交流も生まれたりしますよね。

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