SNS、ウルトラワイド、レイテンシー、MR……ゲーム業界が2021年に向ける期待は?

SNS、ウルトラワイド、レイテンシー、MR……ゲーム業界が2021年に向ける期待は?

 コロナ禍の影響を受け、今年はオンライン開催となった『東京ゲームショウ2020』。本稿では専門セッション「2021年に向けたゲーム業界最新技術トレンド」から、主に後半で語られたテーマ3「2021年に向けて期待すること」の模様を記す。

 登壇者はゲームジャーナリストの新清士、テクニカルジャーナリストの西川善司、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの簗瀬洋平(プロダクト・エヴァンジェリスト/教育リード)。モデレーターは日経BPの東将大(日経クロステック/日経エレクトロニクス記者)が務めた。

交流が目的のゲーム空間 ウルトラワイドでもVRに比肩

左から簗瀬洋平、西川善司、新清士、東将大。
左から簗瀬洋平、西川善司、新清士、東将大。

 新は「リアルとバーチャルの取っ払い」と題し、「リアルとバーチャルを分けることが、ほぼ意味なくなってきていると思う」と切り出した。例として「SNSを通じ、ゲームの中にいる人に対してコミュニケーションを取るという人や、バーチャル空間にいる人がリアルの人に連絡をするというケースが増えている」ことを挙げた。

 続けて新は「その辺りの区別がなくなってきていて、その境界線がなくなってくる。PS5やXboxの次世代のとこでもそうだし、VRなどのハードでも進んでいくのは間違いない」と話し、「自分と違うアイデンティティーを別の場所で実現する。例えばVRチャットみたいなところで実際に起きているし、あるゲームの中ではこういうキャラクター、あるゲームの中では全然違う(キャラクター)みたいな生き方みたいなことの選択肢が出てくると思う」とした。

 西川は「大画面マニア」と題し、「ウルトラワイドアスペクトへの対応を望みたい」とした上で、「VRが素晴らしいのは分かっているが、まず着けるのが面倒くさいとか、着けると長いゲームができないとか、酔いやすいとか、色々あるけれども、ちょうど良い塩梅。VRの良さと普通の直視型でゲームをやるスタイルの間くらいの体験を楽しめる」と、自身のプレイ環境を例に交えた。

16:9と32:9の画角について解説する西川善司。
16:9と32:9の画角について解説する西川善司。

 西川によると「16:9のモニターの場合、視距離が50cmから70cmだと、映像の画角が45度くらいであるところ、32:9のウルトラワイドモニターだと90度くらい。VRが100度くらいの画角なので、かなりVRに近い体験ができる」とのこと。『デス・ストランディング』を開発した小島秀夫も、PC版はウルトラワイドに対応してくれたそうだ。

 それから西川は具体的にマイクロソフトの『フライトシミュレーター』で遊んだ際の例として、16:9の画角とウルトラワイドの画角を比較した。「これ(ウルトラワイド)は上下を切っているわけではなく、画角が広がってレンダリングで広い範囲で描かれている。3Dゲームはコンピューターメモリ上の世界は存在するので、カメラで撮影するように広角のレンズでレンダリングすれば、広範囲にレンダリングできる」と、ウルトラワイドの利点を示した。

 また西川は「今度の次世代機は、ハードウェア的にもポテンシャル的にもいけるので、もしかしたら計画済みかもしれないが、もうウルトラワイド対応をお願いしたい」と念を押した。さらに「解像度は横が4K、縦がフルHDなので、むしろ4Kより軽い。技術的にもできるので、対応を検討してほしい。『グランツーリスモ』とかのレーシングゲームで、自分の運転してる車のフェンダーとか見れたら最高。追い越していく車が横から出てくるのが分かる。それこそ没入感、臨場感がスゴい」と重ねた。

スペックとレイテンシーの壁 MRで補完する周辺視野

前半のテーマ1はPS5(標準/デジタル)とXbox(X/S)の比較など。
前半のテーマ1はPS5(標準/デジタル)とXbox(X/S)の比較など。

 簗瀬は「今想像できないものを遊びたい」と題し、「新しいゲーム機が出てきた時に、こういうスペックなんだと思ってから考えつくものではなくて、ゲームクリエイターは大体こういうものを遊びたいという究極のものを思っている」と、開発の視点で語った。「スペックの壁とか色んな技術の壁にぶち当たって、実現できていないのがいっぱいある。そうした中で新しいハードが出てきた時に、『これできるようになった!』って瞬間がある」といったブレイクスルーを待望した。

 そして簗瀬は「今まで何年も何十年も温めてたものが急に出てきて、こんな新しいものができるんだとなった瞬間が、新しいスペックのゲーム機の醍醐味。研究でやってることが実現するのは10年後くらいだが、だいたい研究してる人が想像してなかった使い方がされている」とユーザーの視点でも語った。「例えば(日本の)インターネットを作った(整備した)村井(純)先生とかは、『オンラインで格闘ゲームができるとは思わなかった』とおっしゃっているから、これからもそういうことはたくさん起こってくる」とインフラにも触れた。

 そうした簗瀬の話を受け、東は「逆に今想像できない、こういうのは無理だろう、だけどできたらいいなというのはあるか」と各氏に質問した。

 新もインフラの例として「レイテンシーがほとんどないゲームが実現したらいい。VRの方でもそうだが、叩くなど(接触系の)バトルのようなものを作ろうとするとレイテンシーの問題がある」と言及。「クライアント側のハードの問題ではどうしようもできない問題で、ずっとネックになっている。例えば光より速いものが発見されないと」と、苦笑いした。

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