TikTokと酷似のFacebook新機能「リール」

　また、今月頭には、Facebook社の所有するサービスであるInstagramにおいて、「リール」という新機能がリリースされた。TikTokへの禁止令が発表されたのとほぼ同じタイミングであり、これも含め、様々な要因が「ザッカーバーグが今回の禁止令に対しての進言を行ったのではないか」という憶測へと発展している。

　この新機能はInstagramの「ストーリー機能」を発展させたものとして、ストーリー機能にはない、スローモーション編集、音楽やARエフェクトの追加、ストップモーションを利用したジャンプ機能が追加されているが、TikTokと機能はほぼ同じだ。

　逆にTikTokと重なる点はシェアの仕方で、それぞれのInstagramのストーリーの画面に表示されるのではなく、Explore（発見）ページでTikTokのように上下にスワイプするスタイルで表示される。これはつまり、自分のフォローしている人以外のアカウントのリールを表示させることができるという機能だ。これはTikTokの使っているアルゴリズムの特徴であり、フォロー形式ではなくユーザーが一つの動画を見ている時間を解析して個人化されてたフィードを提供するというものだ。

　新しいフォロワー層を開拓したかったりフォロワーを増やしたいユーザーにとっては、初期のフォロワー数に左右されることなく、マーケットを見つけることができる重要な機能となる。

「国家の安全」傘に着た競合排除か

　　7月末に禁止令の噂やFacebookのリールのリリースに関して、当時CEOであったKevin Mayerは「私たちは競争を快く迎えます。私たちは公正な競争は全体の向上につながっていると考えています。Facebookは私たちの模倣プロダクトまでをリリースしようとしています。Facebookのような愛国心を装って私たちのアメリカにおける存在に終止符を打つような存在よりも、もっと公正でオープンな競争の場を作ることにエネルギーを向けましょう」と話していた。今回の禁止令は「国家の安全」という名を装いながら、競合を追い出す戦略のひとつでしかないのだろうか。

■mugiho
ニュージーランドの大学でマオリ文化の発展・都市計画・教育について学びながら映画、テック、文化芸術について執筆するフリーライターと翻訳家。人間観察をしながらたまにそれらについて書いたり撮ったりしている。

〈Source〉
https://www.wsj.com/articles/facebook-ceo-mark-zuckerberg-stoked-washingtons-fears-about-tiktok-11598223133
https://www.engadget.com/zuckerberg-washington-tiktok-102052061.html
https://www.engadget.com/instagram-launches-reels-to-beat-tiktok-130009783.html
https://www.engadget.com/congress-questions-facebook-acquisition-strategy-antitrust-hearing-211424926.html
https://www.engadget.com/tiktok-antitrust-ceo-open-letter-141504356.html
https://newsroom.tiktok.com/en-us/fair-competition-and-transparency-benefits-us-all
https://www.reuters.com/article/us-usa-tiktok-trump-exclusive/exclusive-tiktok-to-challenge-u-s-order-banning-transactions-with-the-video-app-idUSKBN25H2QG
https://www.cnbc.com/2020/08/22/tiktok-will-challenge-trump-order-banning-us-transactions-company-confirms.html
https://www.engadget.com/tiktok-ceo-resigns-043447099.html
https://www.techrepublic.com/article/facebook-data-privacy-scandal-a-cheat-sheet/