「BanaDIVE™ AX」に見た、AI DJの進化が示す”イマーシヴなバーチャルライブ体験”の可能性

「BanaDIVE™ AX」に見た、AI DJの進化が示す”イマーシヴなバーチャルライブ体験”の可能性

 今年6月に株式会社バンダイナムコ研究所が、ゲームAIとxR技術を活用したインタラクティブ・バーチャルキャラクター・パフォーマンスシステム「BanaDIVE™ AX」を発表。さらに6月28日には同システムを活用したバーチャルライブパフォーマンスが、無料オンライン音楽イベント『ASOBINOTES ONLINE FES』で披露され、話題を呼んだことは記憶に新しい。

 そのパフォーマンスでは、ホーカロイドキャラクターのミライ小町がDJプレイするといった内容になっていたが、そこで活用されたのが「BanaDIVE™ AX」だ。配信では、あらかじめアナライズされた楽曲を使用し、DJパフォーマンスが組み込まれたゲームAIが、3Dキャラクターのミライ小町のモーションやライブ空間の演出と連動する様子が確認することができ、近未来を思わせるものになっていた。

 この「BanaDIVE™ AX」によるDJプレイが新しかったのは、AIによるDJプレイでありながら、視聴者とインタラクティヴに連動したパフォーマンスを行っていた点だろう。

 AIによるオートDJプレイという意味では、すでに「djay」や「Pacemaker」といったDJソフト/アプリが実現しているため、そこまで目新しいものではない。しかし、今回の「BanaDIVE™ AX」を活用したミライ小町のDJプレイでは、視聴者による選曲リクエストが行われており、その結果によって、次にプレイされる楽曲がリアルタイムに選曲されていたことは衝撃的だった。

 この視聴者からの選曲リクエストは、ミライ小町のDJプレイ中に画面上に表示される2つの曲の中から、ユーザーが次に聴きたい曲を選ぶことができるという文字通りのリクエスト形式になっていたわけだが、それがリアルタイムで行われたため、パフォーマンスする側と視聴する側の間で、インタラクティヴな交流を生み出す要因になっていた。

 先述のとおり、すでにAIによるDJプレイでは、音声データを解析することで曲と曲同士をシームレスにつなぐことは可能になっている。今回のミライ小町のパフォーマンスにおいても、そういった従来のAI DJのようにあらかじめ音声データが解析された楽曲が、ある程度はセットリスト的にプログラムとして組み込まれていたことは予想に難くないが、それでもその中に2択の選曲リクエストタイムが含まれていたことで、セットリストがあることで予定調和になりがちなDJプレイに、複数の分岐点が生み出されたはずだ。またその分岐点があることで、視聴者側の体験としても、従来のただAIを使った機械的に展開されていくDJプレイとは一味違う、生身の人間とのやりとりに近い感覚を覚えたと同時に、AI DJの進化を強く感じた。

 DJ配信に関しては、新型コロナ禍によって、リアルなライブエンタメの発信の場であるライブハウスやクラブが営業自粛せざるを得ない状況になったことにより、急速にここ数ヶ月の間、日常化した感覚がある。しかしながら、日常化することでそれまでスタンダード化していた”ただDJがプレイする”ことに対して、ライブ配信ならではの視覚的な演出など、よりコンテツに没入できるような体験の要素が求められるようになった。そういった”体験”の部分に応えるように、現在では、『フォートナイト』、『マインクラフト』などゲーム空間を利用したVRライブや、AR技術を活用し、リアルとバーチャルを織り交ぜたARライブなど、テクノロジーを駆使したバーチャルライブが普及し始めたことは記憶に新しい。

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