『クラッシュ・バンディクー4』が発売決定 前作『5』から16年ぶりのナンバリングが『4』へと戻るワケ
先に紹介したとおり、これまで同シリーズからは5作のナンバリングタイトルが発売されている。その歴史を踏まえたうえで最新作に数字を振るならば、“クラッシュ・バンディクー6”となるのが自然であるはずだ。
しかし、今回発表の新作につけられた数字は『4』。つまり、シリーズ中に2つの“第4作”が存在することになる。いったいなぜこのように不思議な出来事が起こったのだろうか。
その秘密はシリーズが歩んできた歴史の中にあると推測する。
先述のように『クラッシュ・バンディクー』シリーズは、『アンチャーテッド』や『The Last of Us』などの作品で知られるアメリカのゲーム開発会社・ノーティードッグによって命を吹き込まれた作品群だ。しかしながら、同社は1999年、スピンオフタイトル『クラッシュ・バンディクー レーシング』を最後に、シリーズ作品の開発から撤退した。
その後、開発元・発売元を変えて存続してきた同シリーズだが、『4』以降のタイトルでは過去作が築き上げてきた遺産を切り崩してきた背景がある。フリークが“名作”と讃える『クラッシュ・バンディクー』シリーズは、概ね『3』まで(スピンオフを含めるならば、『クラッシュ・バンディクー レーシング』まで)という実態があるのだ。
開発元・発売元が変更となった裏には、私たちの想像の及ばないさまざまな経緯があったのだろう。16年ぶりに発売される新たな『クラッシュ・バンディクー4』では、開発元にこそアメリカのゲームスタジオ・Toys for Bob(『1』『2』『3』のリメイク作品『クラッシュ・バンディクー ブッとび3段もり!』の開発を担当。同タイトルは一定の評価を獲得している)の名前がクレジットされているものの、発売元はSIEへと回帰している。
「今作こそ本当の第4作である。」そんなメッセージを新作のネーミングに感じるのは私だけだろうか。一見すると、すでに発売されている第4作のリメイクのように見えてしまう新しい第4作『クラッシュ・バンディクー4 とんでもマルチバース』。そのネーミングの裏には、開発元・発売元の並々ならぬ意欲が隠されているのかもしれない。
■結木千尋
ユウキチヒロ。多趣味なフリーライター。
執筆領域は音楽、ゲーム、グルメ、テクノロジーなど。カルチャー系を中心に幅広いジャンルで執筆をおこなう。
人当たりのいい人見知りだが、絶対に信じてもらえないタイプ。Twitter:@yuuki_chihiro