恋愛リアリティ番組の“誹謗中傷問題”にどう向き合うべきか 木村花さん逝去と『テラハ』制作中止を機に考える

 5月23日、女子プロレス団体「スターダム」に所属するプロレスラー・木村花選手の逝去が公式ホームページで発表され、国内外から悲しみの声が寄せられた。

 木村花選手は、現在Netflix等で配信中の人気恋愛リアリティ番組『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』に出演中で、視聴者からのSNS中傷に心を痛めていたことが、自身のInstagramやTwitterの書き込みからも伺える状態だった。それもあって、現在ネット上では様々な議論が巻き起こっている。

 恋愛リアリティ番組は『ねるとん紅鯨団』や『未来日記』など、古くから存在するジャンルだ。そして、番組内において「やらせ」などの倫理観については幾度どとなく議論となり、90年代末にフジテレビ系列で放送されていた『愛する二人別れる二人』は、出演者の女性が死去。その際に「やらせ」を告発する遺書を残していたことから、社会問題に発展し、番組終了に至った。

 かつてはテレビのものであった恋愛リアリティ番組だが、2010年代に入ると、ネット配信とSNSの共鳴とも呼べる形で人気を獲得していく。Netflixは『あいのり』、『TERRACE HOUSE』といった、フジテレビの人気恋愛リアリティ番組の新作を、Amazonは海外の人気恋愛リアリティ番組『バチェラー』の日本ローカライズ版『バチェラー・ジャパン』、『バチェロレッテ・ジャパン』を、AbemaTVは人狼ゲームと恋愛リアリティ番組を融合させたオリジナル番組『オオカミくんには騙されない』が大ヒット、他にも数多の恋愛リアリティ番組を配信している。もはやネット動画配信サービスにおいて、恋愛リアリティ番組は欠かすことのできないドル箱コンテンツなのだ。

 昨年、筆者は恋愛リアリティ参加者に対して、エスカレートしていくSNSバッシングに対して、警告をならす記事を本サイトに寄稿した。そちらの記事でも触れたように、「バチェラー3」のバチェラー・友永真也氏が、番組終了後即座に、エンディングで選んだ女性と別の参加者と交際していたことが発覚。SNS上でバッシングの嵐が巻き起こった(その後、ふたりはカップルユーチューバーとしてYouTubeチャンネルを開設しているのも、タフというか……)。

 また、今年4月には、AbemaTVの『今日、好きになりました ハワイ編』で誕生した現役高校生カップルが、結婚と妊娠を発表。10代、しかも女性側は16歳での妊娠ということで、SNS上では大きな反響があり、その中にはネガティヴなものも少なくはなかった。

 昨年の「2019年恋愛リアリティーショー座談会」でも述べたように、この流れは加速してしまうことを懸念する一方で、「楽しんでいる」自分がいたことは否定できない。また、これらの番組に関する記事はメディアの需要も高く、「仕事のため」に見ることも少なからずあった。そういう意味では、出演者の人格レベルに踏み込んで「考察」していたメディアや我々書き手たちも、「外野」ではない。

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