Appleの2019年は「サービス事業重視」の転換点だった 成長のカギは後発サブスクか?
FAANGのなかでナンバーワン
以上のようなAppleの年頭プレスリリースを受けて、さっそく各メディアは同社の動向に関する考察記事を公開した。経済メディア『MarketWatch』が8日に公開した記事は、2019年のAppleの株価の推移を考察している。この記事では、GAFAにNetflixを加えた「FAANG」の2019年における株価の推移を示したグラフが掲載された(以下のグラフを参照。黒の折れ線がAppleの株価)。グラフを見るとわかるように、Appleの株価は2019年を通じて2倍近くに上昇し、FAANGのほかの企業を圧倒しているのだ。2020年の同社の株価に関しては、投資会社WedbushのアナリストDan Ives氏がiPhoneの5G対応に伴う買い替え需要が見込まれるのでさらに上昇するだろう、と述べている。
また、アメリカ大手総合メディアCNBCが8日に公開した記事では、Appleの成長に関する懸念材料が指摘されている。同社の年頭プレスリリースは、App Storeが非常に好調であることを伝えている。しかしCNBCの記事によると、同社が2019年にアプリ開発者に対して支払った金額は350億ドル(約3兆8000億円)であり、2018年の340億ドル(約3兆7000億円)と比べて2.9%増えたに留まる。対して2017年におけるアプリ開発者への支払いは、前年比で30%も増えていたのだ。こうした数字を見ると、App Storeの成長が鈍化していると言える。
Appleがサービス事業からの収益を安定的に確保するためには、成長が鈍化しているApp Storeにだけ頼るのは上策とは言えないだろう。今後は、App StoreだけではなくApple Musicや後発サブスクであるApple TV+やApple Arcadeを収益の柱にすることになるだろう。それゆえ、2020年には魅力的なAppleオリジナル動画やApple Arcade独占ゲームが多数配信されるのではないだろうか。
トップ画像出典:Apple公式プレスリリース「Apple、歴史に残る一年に続く、サービスの新たな時代を祝う」より画像を抜粋
■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi