Apple Arcadeに年間割引プラン登場? 順調に成長するAppleのサービス部門
今年9月に始まったAppleが運営する定額制ゲームストリーミングサービス『Apple Arcade』に、早くも新たな料金プランが登場するようだ。『Apple Arcade』の他にも多数のサブスクリプションサービスを展開している同社は、今後ますますサービス部門重視の姿勢を強めそうだ。
2ヶ月分のお得
ゲームメディア『Polygon』は16日、『Apple Arcade』に年間割引プランが登場したことを報じる記事を公開した。同サービスは月額4.99ドル(日本では600円)を支払うと100を超える高品質なゲームをプレイできるというものなのだが、今までは割引プランはなかった。ところがPolygonの記事によると、同サービスに登録済みのユーザがiOS端末の「設定」から「Apple ID」を選択して「サブスクリプション」に移動すると、年間割引プランが選択できるようになったというのだ。新規登録ユーザに関しては、登録時に年間割引プランが選択できる。
年間割引プランを選択すると、年間49.99ドルの支払いとなる。この金額は、月額支払いプランに比べて年間で約10ドル安い。つまり、実質的に2ヶ月分無料でサービスを利用できるというわけなのだ。
もっとも、上記プランはまだApple公式サイトで発表されていない。それゆえ、このプランが利用できる国についても、その詳細は明らかではない。いずれAppleから正式に発表されて、日本でのサービス提供時期とその内容が明らかになるだろう。
希望を見出すインディーズゲームスタジオ
年間割引プランが始まることで『Apple Arcade』はますます利用しやすくなるのだが、このサービスはゲームを開発するスタジオにとっても歓迎すべきもののようだ。ゲームメディア『gamesindustry.biz』は11月25日、ゲーム開発者から見た『Apple Arcade』の現状に関する記事を公開した。
『Apple Arcade』でプレイできるゲームは、例えば『Fortnite』のような大手ゲームスタジオが基本プレイ無料で配信しているものではなく、インディーズゲームスタジオが有料ゲームとして配信していたようなものから構成されている。こうしたゲームラインナップが可能なのは、Appleがインディーズゲームスタジオに資金援助しているからである。この資金援助のおかげでインディーズゲームスタジオは、収益を気にするあまり保守的なゲーム作りに陥ることなく、挑戦的な内容のものを提供できるようになったのだ。
例えば『Apple Arcade』独占ゲームのひとつ『Lifelike』は、魚群の挙動や種子の飛散と言った自然現象に強くインスパイアされた美しいグラフィックを実現したゲームである(下の動画参照)。同ゲームを開発したウィーンのゲームスタジオKunabi Brotherは当初はこのゲームを有料ゲームとしてリリースすることを計画していたのだが、収益が上がるかどうか不安であったという。しかし、『Apple Arcade』で配信することになって、そうした不安から解放されて「リスクをとることを勇気づけられた」と語っている。
また『Pac-Man Party Royale』を『Apple Arcade』に配信したバンダイナムコのプロデューサーであるCharles Capelle氏は、同サービスでプレイできるゲームは広告や課金といった無料モバイルゲームのシステムに飽きたプレイヤーを満足させるだろう、と述べている。課金システムの実装に労力を使うことなくゲームの楽しさだけを追求できることも、ゲーム開発者が同サービスに感じる魅力である、とも話している。