Spotifyが配信から制作までを担う音楽プラットフォームへ! 進化の鍵を握る「Spotify for Artits」の今

「Spotify for Artits」の今

 購入できるライセンスには基本的に「NON-EXCLUSIVE」、「EXCLUSIVE」、「BUYOUT」の3種類が用意されており、それらは使用条件に応じて1曲ごとのライセンス料金が異なる。ちなみに1番最安のデモ音源制作用に推奨されているライセンス「NON-EXCLUSIVE」場合、ライセンス料金は99ドル。一方、ライセンス買い切り型の「BUYOUT」の場合は1499ドルと料金の差の開きも大きい。またライセンス購入時には、オプションとして、販売されているトラックのステムの購入や、ボーカルミキシング、ボーカル・エディットとミキシングといった追加メニューも用意されている。

via soundbetter.com

 このように現在、SoundBetterでは、音源制作の裏方仕事だけにとどまらず、様々なタイプの”音楽クリエイター”が、自分のスタイルにあわせて、広く音源制作を行える環境を提供している。こういった音源制作に関わるSoundBetterのサービスは、現在、Spotifyが進める「Spotify for Artists」をさらに充実したものにする。つまり、Spotifyは、ただ音楽を配信するためのプラットフォームとしてだけではなく、ミュージシャンが配信する音源自体に制作段階から関わることで、音楽の作り手にとって、よりフレンドリーな存在であることを目指しているといえる。そして、そうすることで自らのビジネスモデルを拡張させる狙いがあると予想できる。

 買収時、SoundBetterの共同創業者でCEOのShachar Giladは、「私たちは、Spotifyのグローバルな規模、リソース、ビジョンを活用してネットワークを拡大し、あらゆるレベルのアーティストの皆さんにさらなる経済的チャンスをもたらすことを楽しみにしています」とコメントしているが、40万人の登録ユーザーを抱える「Spotify for Artists」と組み合わさることで今後、どのような形でさらなるシナジーを生み出し、規模を拡大していくのだろうか? その鍵を握るのは「Spotify for Artists」とSoundBetter機能の早期連結だろう。今後、Spotify for Artists上で、SoundBetter機能がワンストップで利用できるようになれば、ミュージシャンたちにとってストリーミングロイヤリティとプラスαの収益を得ることができるより優れた音楽クリエイターのための強力なツールになり得るだろう。

 買収発表直後から今後の明確なプランは未だ発表されていないものの、SoundBetterのサービス上の特性から察するにSpotifyは音楽の消費者だけでなく、今後は音楽の生産者にとってもより存在感を放つプラットフォームとして発展進化していくはずだ。

(画像=https://soundbetter.com/より)

■Jun Fukunaga
音楽、映画を中心にフードや生活雑貨まで幅広く執筆する雑食性フリーランスライター。DJと音楽制作も少々。
Twitter:@LadyCitizen69

〈参考〉
https://soundbetter.com/
https://techcrunch.com/2019/09/12/spotify-acquires-soundbetter-an-online-marketplace-for-sound-engineers-and-producers/

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