大阪公演迫る『初音ミクシンフォニー2019』 MEIKOが躍動した横浜公演をレポート

『初音ミクシンフォニー2019』横浜公演レポ

 ボーカロイド楽曲をフルオーケストラで奏でる『初音ミクシンフォニー2019』の横浜公演が10月14日、パシフィコ横浜で開催された。12月23日に大阪・フェスティバルホールでの公演も控えているため、ネタバレは最小限にとどめた上で、大歓声と感動に包まれたステージをレポートしたい。


 今年で4年目となり、ボーカロイドシーンの一大イベントに成長した『初音ミクシンフォニー』。必ずしも生演奏を想定しているわけではない、ボカロ曲のオーケストラアレンジは、膨大な労力と才能が要求されるが、多くのファンを楽しませるため、毎年レパートリーを増やし続けてきた。そんななかで、今年の一曲目に披露されたのは、発表から10周年の節目を迎えたぼーかりおどP(noa)の名曲、「1/6 -out of the gravity-」だった。


 人がそれぞれに抱えている、重たい荷物。言葉では説明できない息苦しさや、ただただ心が疲れるだけの重圧ーー“重力”から解き放たれることで、それを少しでも軽くして軽くしてあげたい、という温かなメッセージが込められたこの曲は、ボーカロイドシーンを追いかけてきたファンにとって特別な作品だ。

 『初音ミクシンフォニー』でも演奏してほしい、というリクエストも多かったなかで、満を持して披露される形となったが、初音ミクのスペーシーな歌声に、NHK東京児童合唱団の無垢で透き通ったコーラス、そして東京フィルハーモニー交響楽団の卓越したハーモニーが合間って、心地よい陶酔感を生み出していた。まるで故・冨田勲の音楽劇を観ているような感動に満ちた4分30秒は、『初音ミクシンフォニー』の歴史の中でも、最高のオープニングだったと言える。


 そこから巡音ルカ、鏡音リン・レンをフィーチャーしたメドレーが続き、それに合わせて、観客が持つライトバングルはピンクから黄色へ、ボーカロイドのイメージカラーに変わっていく。そして、次のカラーは赤ーー今年で誕生から15周年を迎えたMEIKOのアニバーサリーメドレーだ。OSTER project「ピアノ×フォルテ×スキャンダル」をはじめ、ボーカロイドの中でも異彩を放つ、MEIKOのジャジーでパワフルな楽曲が披露された。


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