Netflix、NYの老舗映画館を救う ストリーミングと劇場運営の両立は化学反応を産むか?
Netflixは11月25日、米国ニューヨークの老舗映画館『Paris Theatre』の長期リース契約を締結したことを発表した。DVDレンタルで創業し、その後は動画ストリーミングで圧倒的な地位を築き、劇場とは真逆の事業形態かと思われがちだ。しかし、今回の動きには、何か明確な目的があるようだ。
寂れた歴史的映画館・『Paris Theatre』の救世主
『Engadget』は「Netflixがニューヨークの歴史的な『Paris Theatre』を救う」と報じた(参考:https://www.engadget.com/2019/11/25/netflix-save-new-york-paris-theatre/)。
ニューヨークの歴史あるユニークな映画館『Paris Theatre』は、Netflixという意外な救世主を見つけた。Netflixは、ニューヨーク市内で現存する唯一のシングルスクリーンシネマである『Paris Theatre』の運営を続けるリース契約を締結した。劇場は、今年8月をもって閉鎖されていた。
Netflixのリース条件は明らかになっていないが、特別なイベントや上映のために使用し、独自の映画を上映する予定だという。Netflixは、アカデミー賞の受賞資格を得るべく、劇場で『アイリッシュマン』や『キング』といった映画を上映している。
今回の動きは、Netflixが従来の映画に初進出したというわけではない。4月以来、同社はロサンゼルスの歴史的な『Egyptian Theatre』についても取引を行っている。また、『Landmark Theaters』といった小規模チェーンの買収も検討していると伝えられている。
Netflixにとって、歴史ある小さな劇場への投資は、従来の映画制作者との関係を強化する上で、非常に理にかなっている。映画監督のスティーヴン・スピルバーグ氏は「Netflixの映画は映画ではなくテレビ番組と見なすべきだ」と述べたうえで、「映画が数週間、映画館で上映されただけでは、オスカーの受賞資格を得るべきではない」と提言している。
『Paris Theatre』のような劇場は、Netflixがこれらの懸念に対処し、映画ファンとの良好な関係を構築するのを可能にするだろう。