Spotifyを有効活用するSCANDAL、マネージャーに聞く“リスナー目線の運用術”

Spotifyを有効活用するSCANDAL、マネージャーに聞く“リスナー目線の運用術”

「自分にとって一番楽しい聴き方を提案するくらいの温度感で」 

ーーSCANDALがデータを活用しているなかで、今後取り組みたいことはありますか?

多賀:その楽曲が何回聴かれたか分かるところがSpotifyのすごさだと思います。CDだと週間の売上でランキングが構成されるけど、週間1万枚しか売れなかったアーティストのアルバムでも、そのあと熱心なファンが10回、100回と聴いたりする。その逆で、その週は沢山売れたけれど、あまり聴かれないCDもある。SCANDALも個々の熱心なユーザーが何度も聴いてくれているタイプのアーティストだと思うので、今までとは違う価値観でアーティストや楽曲が評価される時代が来ると思います。あとはリスナーの中にも優れたプレイリストを作成して、インフルエンサーのような役目をしている方がいるのもSpotifyのおもしろいところです。そういう方たちへのサービスやヒアリングができたらより精度の高い活用ができるかもしれません。

ーーたしかに、リリースした時に初速売上に左右されないぶん、シビアに自分たちの曲がどれが聴かれているかはっきり分かりますね。

多賀:リリースされた後にその曲がどれだけ愛されているかが、こういうデータをみるとハッキリわかるので面白いです。Mr.Childrenのコンサートを観た時に印象的だったのは、数あるヒット曲の中でも「HANABI」の歓声が一番大きくて、CDの売り上げでいったら当然「Tomorrow never knows」や「innocent world」のほうが上なんですけど、今の世代の体感としては「HANABI」が一番のヒット曲で、実際にSpotifyだと「HANABI」が一番再生されているという。新しい指標が出来たことで、コンサートなどでどういう曲を推すべきか変わってくることもあるのかなと思いました。

ーー逆に、力を入れ始めたタイミングではできなかったことで、今ならこれができるかもしれない、みたいな施策はありますか?

多賀:まずはリスナーを増やすために「接点を増やす」ことは大事かなと思っているので、なるべくコンスタントに楽曲は出したいですね。アルバムリリースを待たずに収録される新曲を細かく出していく、みたいなことができれば良いなと考えています。もちろんリスクもありますが、アーティスト側が勇気を持ってやっていくしかないんじゃないかと思うので。アルバムとして13曲を一気に公開すると、聴かれ方が薄い曲があるかもしれないですけど、コンスタントに楽曲をアップすることで、その楽曲への集中力が増したり、今までシングルリリースには躊躇した実験的な楽曲を単曲でリリースするなど、試してみたいことは多いです。

ーー本来アルバム曲って、マニアックでコアな曲を入れることが多いですけど、ストリーミングで単曲リリースすることによって、純粋な曲の評価として勢力図が逆転することがあるかもしれないと。

多賀:そういう新しい感覚に出会いたいですね。よくあるんですよ。こっちがシングル曲だと思ってリリースしたけど、結果的にこの曲が人気出ちゃったとか(笑)。

ーー特にライブでは顕著ですよね。

多賀:たしかに、ライブを中心にしてるアーティストほどそういう傾向があるように思えます。

ーー最後に、先ほど「当時の日本のバンドシーンはストリーミングの浸透が遅かった」という話がありましたが、現在はどうですか?

多賀:続々とストリーミングへ戦略的に展開しているバンドも増えていると思います。特にONE OK ROCKはワールドワイド志向で素晴らしいですよね。ただ、自分は戦略というより、もう少しユーザー目線でやっていきたくて。戦略的に考えて施策としてやるというより、いまの自分にとって一番楽しい聴き方を提案するくらいの温度感で取り組んでいければと考えてるんです。

ーー楽しいかどうかが判断基準というのは、これまでの施策に一貫しているところはありますね。

多賀:マーケティング的な視点だと、一般リスナーの視点に気づけないときもあるような気がしていて。僕らは仕事柄色んなアーティストの曲を聴きますけど、一般のユーザーにとってそれがどれだけハードルの高いことなのかは、実際に一般リスナーと同じ立場で使わないとわからないし、それを知っているからこそ展開できている部分が大きいと思うので、その目線はこれからも忘れないようにしたいです。

(取材・文=中村拓海/撮影=林直幸)

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