SASUKE、Mega Shinnosuke、竹内アンナ、Ghost like girlfriend……新進気鋭シンガーが集った『Early Noise Night10』レポ
ハイハットの刻みに導かれるように姿を現したのは、アメリカ・ロサンゼルス生まれのシンガーソングライター、竹内アンナ。体の芯でリズムを感じて歌われる「TOKYO NITE」は、彼女が20歳であることを忘れてしまうほど色っぽい。グルーブが気持ちよく回転する「No Scrubs」、初夏の風が人々の心に吹き込む「ALRIGHT」と次々に楽曲を披露した。「この夏ちょっとした冒険に出かけるきっかけになりますように」と告げて始まったのは、この日に配信がスタートした「20 -TWENTY-」。竹内が得意とするスラップ奏法を用いた1曲は、彼女の艶っぽい声の良さが際立つ。アッパーチューンの「Free! Free! Free!」で一体感ある空気を生み出しステージを後にした。
この日のトリを務めたのは、6月19日にメジャーデビューする岡林健勝のソロプロジェクト・Ghost like girlfriendだ。ステージに登場すると、360°の眺めを満喫するかのようにくるっと一回転。オープニングの「(want) like (lover)」から伸びやかなロングトーンを響かせる。「fallin’」のイントロが流れると観客はざわめき、自然にクラップが発生。それに身をゆだねるように自由なステップをステージに刻んだ。「shout it up」では言霊で音を刺し、「髪の花」では表現力豊かな歌声で映画のような情景を描いて魅せる。ラストソングとなったのは、彼が半永久的に歌っていくと心に決めている「Last Haze」。ライブならではの感情を吐露するような生々しい歌い方で、オーディエンスを虜にしショーを締めくくった。
このまま終わりになるかと思われたが、鳴りやまぬクラップに導かれアンコールに突入。この日2度目となる「髪の花」へと繋がれた。靴を脱いでステージを舞う彼の姿はとても自由かつ素直で、このまま大きいステージへと駆け上がっていくことを容易に想像させる。芳醇な歌声で会場を包み込み、大団円を生み出したのだった。
ストリーミングサービスのみならず、イベントを通して“生”の出会いも提供しているSpotify。彼らがフックアップしたミュージシャンたちが次の時代を築いていく日も遠くはないだろう。公式プレイリスト「Early Noise」、ならびに『Early Noise Night』の動向が引き続き楽しみだ。
■坂井 彩花
ライター/キュレーター。1991年生まれ。ライブハウス、楽器屋販売員を経験の後、2017年にフリーランスとして独立。Rolling Stone Japan Web、EMTGマガジン、ferrerなどで執筆。
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