『有吉ぃぃeeeee!』作家チームが語る“引き算の演出”のつくり方 「テレビマン的な発想を入れすぎないように」

『有吉ぃぃeeeee!』放送作家インタビュー

「他の番組では、作ろうと思ってもなかなか作れない流れ」(丸山)

――グルーヴが出てきたなかで、後ろからみんなでプレイヤーを応援するのも、スポーツ的な熱さがあっていいですね。

カツオ:そうですね。最初は演者さん同士の対戦もいいんじゃないか、という話もあったし、実際にやるときもあるんですけど、そうすると応援する声が散ってしまうんですよね。やっぱりひとりのプレイヤーを応援していたほうが、圧倒的に盛り上がるんです。

池谷:先ほども「部活」という話をしましたけど、応援する側も含めて、演者のみなさんの表情がーー例えば90年代後半から一世を風靡した『ウリナリ芸能人社交ダンス部』みたいな、本気のテレビ企画を思わせる真剣さになっていて。最近はあれほどガチな企画がなかったなかで、ゲームでそれが実現するというのは、面白いなと思います。

カツオ:自然とガチになるから、表情のアップを使いましょう、という話はよくしますね。

――子供のように喜んだり、悔しがったりする有吉さんの姿は本当に新鮮です。自分もゲームをしたくなる、親近感がありますね。

丸山:うれしいですね。ツイッターとかで「自分もやりたくなった」という声を聞くことも増えていて。

カツオ:実際、放送後に『スプラトゥーン2』や『ぷよぷよ eスポーツ』の売上が少し上がった、と聞いてうれしかったです。

池谷:自分も対戦したい、というふうに、視聴者の人たちが積極的に参加してくれるのもありがたいことで。実はこれって、昔のテレビ的でもあるんですよね。

カツオ:そうそう。昔は生放送で「どこどこに集まれ!」みたいな企画があって、多くの人が集まりましたからね。いまはみんな家にいながら、オンライン上で集まることができる。昔のテレビ番組のような熱気もあり、やり方はいまっぽくて面白いですね。

丸山:他の番組では、作ろうと思ってもなかなか作れない流れだと思います。

――演者のみなさんも、意図せず素の部分が出ていると思いますし、視聴者とのインタラクションも含めて、ラジオ的な魅力もあると思いました。

池谷:確かに、そういう「近さ」は感じますね。

丸山:それこそ、昔はテレビにもハガキを送ってくれる人がいましたからね。募集もしていないのにハガキが来るって、すごい視聴熱だと思うんです。『有吉ぃぃeeeee!』も、取り上げるタイトルを発表すれば、ツイッターでポイントを教えてくれる人が出てきますし、視聴者と番組がつながっている感が素晴らしいなと。

――視聴者とのつながりという意味では、外伝的にネットで行なわれているアンガールズ田中さんのゲーム配信『卓志ぃぃeeeee!』も大きいですね。視聴者コメントとのやり取りも、テレビとはまた違ったノリがあって。

カツオ:あれもオッケーできてしまうテレ東がスゴい(笑)。

丸山:思いつきというか、会議のなかで「こういうことをやったら面白いよね」という提案をすると、その場で終わらせずに、何日後かには実現しているんですよ。

池谷:平山P、また総合演出の岩下(裕一郎)さんもそうなんですけど、未知の領域でも面白そうなことはガンガンやろう、という発想なんです。テレビマンって、わりと見えないことはやりたがらない傾向があるのに、本当に仕事がしやすいですね。

カツオ:そもそも僕らは新しいことをやりたい、物好きな作家なんです。テレビ外に目を移すと、いまは流れがめちゃくちゃ早い。『有吉ぃぃeeeee!』の番組公式ツイッターはいま、フォロワーが6万人に届こうかというところまで来ていますが、テレビ番組のツイッターとしてはものすごく早いんです。これを考えても、やっぱり他にはない番組作りができていると思いますし、フォロワー10万人でひとつのメディアになると思うので、まずはそこを目指して頑張ろうと言っています。

池谷:ネットの速度感ですよね。例えばYouTuberは、思いついたことをすぐコンテンツにしてしまう。僕らもテレビの感覚でモタモタしていないで、ガンガン仕掛けていくほうが、ゲームユーザーとの親和性も高いと思うんです。

――確かに、何週間か前に収録された番組の放送だけでなく、同時進行で対戦募集があり、ネット配信があって、というリアルタイム感があります。

丸山:例えば、田中さんの配信で、箱根駅伝の山の神・柏原竜二さんを招いて『スプラトゥーン2』をプレイしてもらったんですけど、これも柏原さんが番組についてツイートしてくれているのをカツオさんが見つけて、声をかけてみたんです。僕ら作家陣と岩下さんのLINEグループで「面白いね」ってなって。

カツオ:それで、裏側で連絡するのではなく、ネット上で声をかけるという(笑)。アイデアが実現するまで、本当に速いんですよ。

丸山:この前も、「対戦した人の相手の名前をエンドロールに出したら面白いんじゃないか」というアイデアを出したら、その週の放送ですぐに実現したり。

池谷:それを本人が喜んでくれて、スクリーンショットを拡散してくれたり。そういう遊びをどんどん増やしていきたいですね。

カツオ:ラジオでハガキ読まれた感じというか。

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