仮想アイドルグループ・K/DAとは? 『League of Legends』から誕生した新たなK-POPの形

 成功の理由としては様々なことが挙げられる。同大会の最多優勝国及び開催国である韓国のコンテンツに、『LoL』のキャラクターを組み合わせたという意味でタイムリーだったとの意見もそのひとつだ。しかし何よりも大きな成功の要因となったのは、単純に「ゲームと何かをミックスする」という短絡的なもので終わらせず、クオリティーを徹底的に追求することにこだわったことではないだろうか。『LoL』とK-POPという看板に依存するのではなく、それらを心底から理解したうえでミックスし、Riot Gamesにしか作れないものを作り出したのだ。キャラクターデザイン、トラック、振り付け、MVのどれひとつを取っても完成度は劣っていない。実際にMVのクリエイティブ・リードだったパトリック・モラレスはインタビューで「ゲーム会社のプロジェクトにとどまらず、一般の音楽ファンにも認めてもらえるような魅力的な作品を作ろうと努力した」と述べた(参考)。デザインからパブリッシングまでを含む制作プロセスには100人以上が参加したという。その結果、『LoL』のファンベースをさらに広げると同時に、新しいコンテンツビジネスのチャンスを生み出した。「POP/STARS」で引き起こしたポジティブな反響は、これから続いていくK/DAの活動にも大きな力になるだろう。

 K/DAをきっかけに、『LoL』やK-POPの世界に興味を持つようになった人々も多くいると思われる。今後もこのようにジャンルの境界を超える試みが、様々なサブカルチャーのファンの距離を縮める役割を果たしてくれるのでないかと期待したい。

■soulitude
日韓の大衆音楽事情を専門とするライター。歌詞・記事の翻訳や音源の流通、キュレーションなどの職業を経て、今は日韓の音楽シーンの架け橋となるべく活動中。

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