VRアイドル「えのぐ」とバーチャル空間でガッチリ握手! 世界初“バーチャル握手会”に潜入

「えのぐ」バーチャル握手会レポート

 VRアイドル「えのぐ」がメジャーデビューを記念した握手会をするとの情報を編集部から伝えられたため、2018年12月23日にTOC有明へ赴いた。そもそも、VRアイドルと握手するとはどういうことなのだろうか。取材に先駆けて調べたが、なかなか情報をつかめずその全貌は謎包まれていた。

 ここで、あまり「えのぐ」を知らないという人に向けてどんな活動をしてきたのか少しだけ紹介したい。2017年8月、“コミックマーケット92の3日間でフォロワー数を1万人集められればメジャーデビューできる”というミッションを与えられたのが、鈴木あんず、白藤環の二人である。バーチャルタレントとして活動をしていた経歴で言うと、かなりの古参でバーチャルYouTuberブームが来る前から精力的に活動していたのだから驚きだ。

 コミックマーケットでのフォロワー数1万人達成はあえなく失敗に終わったが、彼女たちには9月末まで活動猶予が与えられた。その後、二人の地道な努力が実り、ミッションも無事を遂げたことでCDデビューが決定。2018年には紆余曲折を経て、日向奈央、栗原桜子、夏目ハルの三人も加わり、今の「えのぐ」となった。そして、VRライブなど業界としても新たなことに日々チャレンジしているのが、この5人組だ。今回の握手会も類を見ない取り組みの一つとなっている。少しだけと言いつつ、ガッツリ紹介してしまったような気もするが、ここから本題に入りたい。

 会場へ到着し、さっそくなかへ入ると、多くのえのぐみ(ファンの愛称)が待機列を作り、パネルの向こうからは笑い声が聞こえてきた。パネルの先になにがあるのかチラッとうかがってみると、ヘッドマウントディスプレイを身に着け、コントローラーを片手になにやら会話をする姿が。なるほど。VRアイドルとの握手会は、人間がバーチャル空間にダイブすることで行うイベントだったらしい。

 筆者も取材という名目で訪れていたので、握手会がどういうものなのか体験させてもらった。お相手は、おさげ髪とふわふわした雰囲気が可愛らしい栗原桜子。メジャーデビューを祝うコメントなど、事前準備もバッチリで臨んだ。

 開始の合図で握手会がスタート。画面の右下には“30”という制限時間が表示され、刻一刻と数字が減っていく。これがゼロになると、握手会が強制終了するようだ。筆者は以下のようなやり取りをすることができた。

※写真は白藤環

栗原桜子:おはようございます、お名前を教えてください!

——あべです!

栗原桜子:あべさん、握手しましょう!

(両手でこちらの手を取ってくれて、その感触がコントローラーから伝わってくる気がする)

——(おおっ!)

栗原桜子:あべさんは私たちのことを知っていますか?

——知ってます、知ってます!!

栗原桜子:ぜひこれからも応援よろしくお願いします!

 ここでタイムリミット。案外30秒は短い。事前に準備してきた割に、伝えるべきことを伝えられずに終わってしまったので、思わず担当の方に「30秒で会話するのなかなか難しくないですか?」と聞いたところ、「名札を付けて名前の受け答えする時間を短縮している方もいるんですよ」と教えてくれた。

 また「あとはCD1枚ごとに握手券1枚で、1度の握手会で3枚まで使えるようになってます」とも。たしかにそれならば、もっといろいろなことが話せるに違いない。今回、前の週に引き続き2回目開催ということもあって、場慣れしていたえのぐみも多かったように感じた。

 とはいえ、話している時間だけが握手会というわけではなく、スタートの合図がされるまではジェスチャーでアイドルたちとコミュニケーションが取れた。その時間を有効活用して和気あいあいと触れ合いを楽しむファンの姿もうかがえた。

 VRライブにバーチャル握手会……これまで幾度となく、新たなことへ挑戦してきた「えのぐ」だが、これからも多くのファンをアッと驚かせる取り組みを2019年もしてくれることは間違いないだろう。界隈を盛り上げる「えのぐ」からは今年も目が離せない。

■聖☆あべさん
ゲーム・アニメなどエンタメに強いフリーライター。人生の大半を遊びに費やしてきたと自負している。これまでお世話になってきたコンテンツたちに恩返しするべく、ライターとして活動することを決意し、現在進行形で鋭意執筆中。Twitter(@yokato_1110

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